
家、仕事、買い物――私たちは毎日何かを選んでいる。
※本稿は、堀田秀吾著『ハーバード、スタンフォード、科学的に証明された時間をムダにしない人の習慣』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
みなさんは何かを選ぶとき、どんな決め方をしていますか?
たくさん情報を集め、比較検討を重ね、最善のもの、より完璧に近いものを選ぼうとしますか?それとも、「完璧ではなくても、ある基準を満たしていれば十分だ」と考え、サッと決めますか?
心理学の世界では、前者のような人は「追求者(マキシマイザー:maximizer)」、後者のような人は「満足者(サティスファイサー:satisficer)」と呼ばれており、スワースモア大学のバリー・シュワルツは、「追求者は最上のものを、満足者は十分に良いものを望む人たちだ」と説明しています。
追求者にとっての最大の悩みは、どれだけ調べて決断を下しても、「もっと良い選択肢があったかもしれない」と考えやすいことです。
家や車、家電、就職先などを選ぶとき、時間をかけて十分すぎるほど検討したにもかかわらず、後でもっといい商品が安く販売されたことや、もっといい仕事があったことを知って後悔する。
これが、追求者の典型的なパターンです。
一方、満足者は「絶対に譲れない条件」を明確にもっており、それを満たしてさえいれば、ほかの要素は気にしません。
後から別の選択肢があったことを知っても、「条件は満たしているのだからこれで良い」と考えることができます。
完璧なものはない。
正解は一つではない。
満足者はこの事実を自然に受け入れているのです。
ちなみに、シュワルツらは、11校の求職中の大学4年生548人を追求者と満足者に分け、それぞれがどのような職に就き、どの程度満足しているかを、前年の10月から6月まで追跡調査しました。
その結果、初任給の額に関しては、追求者の平均が満足者の平均を20%上回っていることがわかりました。
しかし、それにもかかわらず、自分の仕事に対する評価は、追求者のほうが満足者よりも低かったのです。
追求者は「もっと良い未来」を想像しがちであり、それと現実とを比較して、「満足できない」「自分は幸福ではない」と思ってしまうわけです。
人生は選択と意思決定の連続ですが、満足者は選択すればするほど納得感と幸福が増し、追求者は選択すればするほど不安と後悔が積み重なります。
そのため、追求者は意思決定を避けるようになり、誰かに決めさせることが増えますが、結果に不満を抱きやすく、徐々に集中力が削がれ、行動が鈍くなり、時間を主体的に使えなくなっていきます。
他人に決めさせている限り、それは自分の人生ではありません。
未来に何が起こるか予測できない以上、満足者的に行動し、「自分で選び、その選択に責任を持つ」以外に幸福な生き方はないのです。
なお、シュワルツらは、下図のような、人々の意思決定の方向性を評価するテストも開発しています。
各設問には1(まったく同意できない)から7(強く同意する)の数字で回答することになっており、得点が高ければ高いほど、追求者の度合いが強いといえます。
ただ、重要なのは「自分がどちらの傾向でも、満足者的な行動が人生の質を高める」ということです。
そして、満足者的に行動するとは、「迷いに使う時間を減らし、後悔に奪われるエネルギーを減らし、いま使える時間と集中を最大化すること」です。
細かな比較を重ね、情報を延々と集める追求者的な行動は、時間の消費は大きいのに満足度は上がりにくい。
逆に満足者は、自分の基準に合えばさっと決め、選んだ後もそれを肯定するため、時間も集中力も奪われません。
結果として、迷う時間・後悔する時間が減り、本当にやるべきことに使える時間が増える。それが、満足者が幸福な24時間を過ごせる理由です。
「自分で選び、その結果に満足する」
この姿勢こそが、後悔を減らし、人生の質を最大化する最短ルートだといえるでしょう。

更新:06月25日 00:05