
イラスト・川崎タカオ
「長時間労働」「裁量労働制」「みなし残業代」「フレックスタイム制」......。
日本企業で働く人なら誰もが耳にし、どこか引っかかりを覚える言葉の数々。
本稿では、25年以上にわたり組織・人事の裏側を見てきたコンサルタント・岡本努氏が、みんなが薄々気づきつつもモヤモヤしている「会社の現実」をユーモアたっぷりに言語化。綺麗事だらけの建前を剥ぎ取り、理不尽だけどなぜかまかり通る日本企業特有のリアルな構造を笑い飛ばします。
※本稿は、岡本努著『禁断の会社用語辞典 組織・人事コンサルタントが教える企業の現実』(日経BP)より内容を一部抜粋・編集したものです
■本来の意味
・法定や所定の労働時間を大きく上回る時間外労働が、一定期間以上にわたって高い水準で継続している状態
・一般的に月に80時間超の残業は健康面で危険とされる
■現実
・仕事ができない上司によってもたらされる、社員にとってのとんでもない不幸
・(管理職側)「なんであいつは残業が多いんだ?」という発言が会議で横行
・(管理職側)長時間労働は「本人のせい」という認識がいまだにある
・(社員側)仕事をたくさんして、「やってるぜ!」感を味わえる方法
・(社員側)社内でお金を稼ぐ方法
・(社員側)意図的に法律や協定に違反し、上長や役員に懲戒処分を食らわせる技
■本来の意味
・会社が定める総労働時間を超えないように、社員が始業・終業時刻を決められる制度
・社員の高いプロ意識が求められる
■現実
・ラクをしよう、ズルをしようとする社員が多いと運用が難しくなる
・業務量が増えるタイミングでも、自身の都合を優先する社員が増えて大変
・会議の出席者が激減する事態に
■本来の意味
・裁量労働制―特定の専門・企画業務に限り、仕事の進め方や労働時間の投入を労働者本人の裁量に委ねる。あらかじめ決めた「みなし労働時間」に基づき賃金が支払われる
・疑似裁量労働制―「裁量労働制」とは異なり、みなし時間や固定的な時間外労働手当を設けることで、社員に労働時間の投入の仕方に裁量権があるようなイメージで運用すること。労働時間管理や(固定手当を超える分の)割増賃金の支払いは必要
■現実
・本来は「時間」で働いていないのに、時間が空いていると仕事を詰め込まれる
・会社が、労働時間管理や割増賃金の計算・支払いをまぬがれようとする技法
<解説>
企画・専門業務型の(法律に則った)裁量労働制を導入する企業は数少ない。
一方で、時間外手当の固定額をあらかじめ設定し、その労働時間を超えると、超過分の残業代を支払う方式にしている企業もある。これを「疑似裁量労働制」のように呼び、実労働時間管理や時間外の割増賃金の計算をきちんと実施していないケースも少なくない。
法的要件を満たさない「疑似」とはいえ、「裁量労働制」かのように運用するため社員も誤解する。そんな社員と、時間が余っているなら仕事をさせようとする会社との間にすれ違いが生じ不信感の原因にもなっている。ごまかさず、曖昧にせず、丁寧に仕組みを説明し、仕組み下での適切な働き方を管理職も含めて全社員がきちんと学ぶべきである。
■本来の意味
・一定の残業が発生したとみなして、その分の残業代を固定額で支払う取り決め
・実際に残業していなくてももらえる
・想定残業時間を超過した分の残業代は支払われる
■現実
・月額給与が残業代込みで表示され、区別されていない。社員も残業代をきちんともらえているか正しく認識していない
・固定残業代を上回る分を支給していない会社も多い
・残業すると、とても損した気持ちになる仕組み
更新:08月03日 00:05