2018年03月06日 公開
2023年01月31日 更新
自らも大学在学中に司法試験に合格した経験を持ち、経営する「伊藤塾」では司法試験短期合格者の輩出数全国トップクラスの実績。まさに資格試験のカリスマとして支持されているのが伊藤真氏だ。「伊藤塾」には働きながら難関資格を目指す社会人も多数通うが、伊藤氏は「時間的制約は、勉強においてむしろ有利になる」と話す。詳しくうかがった。《取材・構成=前田はるみ、写真撮影=長谷川博一》
40代になると、管理職としての責務が加わり、勉強時間のやりくりが一層難しくなる。働きながら勉強するのは至難の業のように思えるが、「時間に制約があるほど勉強には有利」と話すのは、これまで数多くの司法試験合格者を輩出してきた「伊藤塾」塾長、伊藤真氏である。一体、どういうことだろうか。
「私が経営する資格試験の受験校でも、フルタイムで働き、残業もある中で勉強している人がたくさん合格しています。
勉強は、やることも大事ですが、やらないことを決めることも大事。今は本屋にもインターネットにも情報が溢れているので、真面目な人ほどあれもこれも手を出して、失敗するケースが多いのです。もし、最初から一日二時間と時間が限られていれば、その二時間で何をすべきかを考えなければなりません。本当にやるべきことだけに絞られるので、時間の制限は勉強にはプラスなのです」
目標を達成できる人とできない人は、「時間の制限」だけでなく、「目標設定」にも大きな違いがあるという。誰しも目標を意識して勉強に望んでいるだろうが、「キャリアアップのため」や「転職に有利だから」といった理由ではそもそも不十分、と伊藤氏は指摘する。
「たとえば、『家族との時間を犠牲にしてまで、なぜ勉強する必要があるのか』と夫や妻に聞かれたら、自分の言葉で説明できますか? それくらい具体的で納得感のある目標がなければ、勉強は続けられません。『キャリアアップのため』というのなら、『キャリアとは何か』を自分なりに定義づけておくことも大切でしょう。私が定義するキャリアとは、『仕事を通じて志を実現し、自分が成長していくプロセス』のことです。では、自分の志とは何なのか。その志を達成するために必要な勉強なら、自分でも納得感があるし、続けられます。
人生の時間は有限です。もし、何のために勉強するのか明確な目標がないなら、限られた時間を別のことに使うほうが、人生はより豊かになるはずです」
更新:11月22日 00:05