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「ここがダメ」で人は動かない 信頼される上司が代わりに言う「たった一言」

吉井奈々(一般社団法人JCMA代表理事・コミュニケーション講師)

「感じのいいひと~」

つい相手の欠点を指摘してしまう。励ますつもりが、評価するような言葉になってしまう――。そんなすれ違いを防ぐ鍵は、「伝え方」を少し変えることにある。相手のやる気と信頼を育てる言葉の選び方を紹介する。

※本稿は、吉井奈々 著『なぜか、また会いたくなる 感じのいい人の心がけ帳』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「指摘」ではなく「惜しい」で伝える

「ここがダメなのよ」といきなり指摘する。

その瞬間、相手の心の中の電気はふっと消え、「じゃあ、どうしたらいいの?」と迷子になってしまいます。感じのいい人は、まず「ここまではよかったよ」と相手ができたことをあたたかく認めます。その安心感があってはじめて、心は「もっとよくしよう」という前向きな改善へと動き出せるからです。

いきなり否定するのではなく、いったん相手を認めたうえで、アドバイスをする。

そのやさしさが相手のやる気を引き出し、信頼と成長を育てていきます。

 

「ならのしか」で背中を押す

「あなたなら(奈良)大丈夫」
「あなたにしか(鹿)できない」

この言葉に、必ずしも根拠はいりません。むしろ理由を並べすぎると、それがうまくいかなかったときに、相手の足を止めてしまうことがあります。

無条件でただ信じてもらえる。それだけで、「この人は自分の可能性を見てくれている」と、心が軽くなることがあります。根拠がないからこそ、揺るがない。無敵の安心感です。

「私にはわかるの」というひとことが相手の背中をそっと押し、次の一歩を育みます。

 

「感動」をそのまま言葉にしてほめる

「やればできるね」という言葉は、上から目線の「評価」に聞こえてしまうことがあります。

感じのいい人が大切にしているのは、自分の心がどう動いたかをそのまま伝えること。

評価はときにジャッジにもなりますが、感動は同じ目線でよろこびを分かち合える言葉です。

うまく整った言葉よりも、「いいなと思った気持ち」を飾らずに伝える。

その素直なひとことが相手の自信を育て、「また頑張ろう」と思える力になります。

プロフィール

吉井奈々(よしい・なな)

一般社団法人JCMA代表理事、コミュニケーション講師

企業や教育機関でコミュニケーション講師として活躍。15年間にわたって約7万人に「心を大事にするコミュニケーション」を伝えている。40歳から改めて大学に進学し、心理と教育を専攻。その後進んだ大学院では社会学を専攻し、仏教学や哲学についても研鑽を積む。
出生時に割りあてられた性別は男性だったが、性別適合手術を受けて戸籍を女性に変更し、現在は男性と結婚。アメリカに渡り、心理療法の権威リチャード・バンドラー博士から直接教えを請い、心のしくみを“言葉”で紐解く癒やしと変容の技術を修得。現在はメンタルケアとコミュニケーションの専門家として、全国で講演・企業研修・指導を行なっている。
日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エム、ANAなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当。また、東京大学や早稲田大学をはじめとする多くの大学で講師を務め、全国200校以上の中学校や高校でも、生徒向けの講演、教員向けの研修、PTA向けの講演を行なっている。NHK・Eテレの教育番組や日本テレビ系列の人生相談番組で、3年間レギュラー出演するなど、メディア出演も多い。

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