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「体操しても筋肉がつかない...」原因は整形外科医が教える“あの栄養不足”

2026年09月16日 公開

中山潤一(整形外科医)

健康的な食事

せっかく頑張った体操、実は「食事」のせいで効果が激減しているかも? 整形外科医が明かす、骨や筋肉を劇的に若返らせる栄養の極意とは。筋力アップに不可欠なタンパク質の摂り方から、驚くほど手軽な朝食アイデアまでたっぷりお届けします!

※本稿は、中山潤一著『動ける体が大復活する1分体操』(株式会社アスコム)より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

整形外科の視点からも「栄養学」は大事

食生活が大切なことは、ちゃんとわかっておられますよね。

私は「栄養学」を重視しています。なぜなら、「整形外科で扱う領域(骨、筋肉、関節、神経など)」と「体の栄養状態」には、大きな関わりがあるからです。たとえば、次のような関連が見られます。

大腿骨などを骨折して整形外科を訪れる年配の方には、「低栄養」の方が多く見られます。

また、鉄欠乏性貧血の方は、体の痛みに弱い傾向があります。さらに、鉄分は、関節炎や関節痛と関連があるとされています。

あまり知られていないのですが、骨粗鬆症の方は、カルシウムはもちろん、マグネシウムやビタミンD  が不足していることが多いのです。

近年、危惧されていることとしては、病院や施設などで長期間過ごした方、つまり長期間ベッドや車椅子の上にいて、ほとんど体を動かしていなかった方は、たいていマグネシウムが不足しています。マグネシウムは筋肉をリラックスさせるミネラルで、不足すると筋肉が硬直したり、こむら返りなどが出たりします。

このように、体の状態と栄養状態には、関わりがあります。ですから、私は整形外科医の視点から、栄養学を重視しているのです。

栄養学なんて、面倒くさいと思われますか?

だいじょうぶです。食材を偏らせず、卵や乳製品、肉や魚、野菜や果物など、いろいろな食材を満遍なくしっかり摂っていれば、自然に体に良い食生活になります。

食が細くなった方は、「栄養は摂りすぎていい」ぐらいの気持ちでいていいと思います。しっかり召し上がってください。

 

タンパク質を摂らないと体操の効果が遅くなる

満遍なく、いろいろな栄養素を摂ることが理想ですが、その中でもぜひ意識してしっかり摂っていただきたいのは「タンパク質」です。

なぜなら年齢が上がってから筋肉をつけるためには、適度なタンパク質の摂取が不可欠だということが明らかにされているからです。(※1)

タンパク質は筋力トレーニングの効果を高め、脂肪ではなく、筋肉で体重を増やします。

逆から言えば、タンパク質が不足していると、体操の効果が表れるまでに時間がかかってしまうのです。

それにもかかわらず、クリニックを訪れた年配の患者さんの血液検査をすると、ほとんどの方はタンパク質が不足しています。

タンパク質には、牛乳や肉、魚などの動物性のものと、大豆などの植物性のものと、2種類があります。どちらのタンパク質も必要ですから、好き嫌いもあるとは思いますが、できるだけどちらも摂ってください。

ちなみに、私がおすすめする朝食は、チーズをのせたツナトーストです。チーズもツナ(マグロ)もタンパク質が豊富です。ツナではなく、シラスなどでもいいでしょう。

筋肉とは直接関係ないのですが、オメガ3脂肪酸を含む魚の脂肪は中性脂肪を低下させたり、認知機能をサポートしたりするとされているので、私は魚を積極的に摂っています。

計算が苦にならない方は、「高齢者が1日に摂取すべきタンパク質の推奨値は、男性が60グラム、女性が50グラム」(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」より)だと覚えておくといいでしょう。近年は、市販の加工食品の多くにタンパク質の量が記載されているので、参考になるはずです。

たとえば次のような食事であれば、女性の場合、タンパク質は十分です(カッコの中がタンパク質の量)。

朝:ヨーグルト200g(約8g)+ 目玉焼き(約6g)= タンパク質約14g
昼: 納豆1パック(約7g)= タンパク質約7g
夜:鶏むね肉100g(約24g)+ 豆腐1/2丁(約10g)= タンパク質約34g

1日に摂取すべきタンパク質の目安

食事をするのに「いちいち栄養素を考えたり計算したりするなんて、面倒くさくてやってられない」と思われる方は、計算などしなくてかまいません。

 

とにかく毎食、タンパク質の入っている食材を摂ってください。

一日の中で、肉か魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆、豆乳など)、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど) をすべて摂ることが理想です。

もちろん、肉の部位や魚の種類などによって、含まれているタンパク質の量は異なります。ですが厳密な計算など、栄養士でもなければ、なかなかできないですよね。皆さんは、毎日、平均的に次のページに記した表の量(数字は食品の重さ〈グラム〉)を摂れば、必要なタンパク質が摂れると思っておけばいいでしょう。

1日に食したい食料の量(g)

体操をこれから始める方は「あまり活動していない方」の表を、片足の体操を続けている方、体の準備ができて歩き出した方は、「普通に体を動かしている方」の表を参照してください(『八訂 食品成分表2025』女子栄養大学出版部より)。

「いちいち重さを量るなんて面倒くさい」と思われますか?3日もやればだいたいわかるようになるので、あとは「なんとなく」で、量らなくても続けられるはずです。

または、実際に量らなくても、パッケージに書かれている重さから、「だいたいこんなもんかな」と目分量でもいいでしょう。

卵だけはパッケージに1個あたりの重さが書かれていることは少ないかと思いますが、殻を除くとMサイズは約50グラム、Lサイズは約60グラムくらいですので、「卵は1日1個」と覚えておけば問題ありません。なお、体がタンパク質を効率よく利用するためには、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンKも必要です。

特にビタミンDが不足していると、タンパク質不足と同じように、体操の効果が表れるまでに時間がかかります。

ビタミンCは、果物などに含まれています。

ビタミンDは、キノコ(特に、舞茸やエリンギ、乾燥椎茸や乾燥キクラゲ)、そして卵にも含まれています。

ですから私は、朝は必ず卵を食べることを患者さんたちにおすすめしています。

ゆで卵、目玉焼き、オムレツ、スクランブルエッグ、卵焼きなど、手軽に調理できて、栄養価の高いのが卵料理の特徴です。

 

(※1)Houston DK, Nicklas BJ, Ding J, Harris TB, Tylavsky FA, Newman AB, Lee JS, Sahyoun NR, Visser M, Kritchevsky SB. Dietary protein intake is associated with changes in lean mass in older, community-dwelling adults: the Health, Aging, and Body Composition (Health ABC) Study. Am J Clin Nutr. 2008;87(1):150-5. doi:10.1093/ajcn/87.1.150]

プロフィール

中山潤一(なかやま・じゅんいち)

中山クリニック委員長、整形外科医、医学博士

【YouTube登録者10万人突破】 兵庫県明石市で連日患者が向き合う「行列のできる整形外医」。
「1日1万歩は歩きすぎ」という医学的事実に基づき、「1分で終わる、頑張らない運動」を提唱するヘルスケアの専門家。大阪医科大学卒業後、神戸大学整形外科に入局。
基幹病院での過酷な臨床現場や手術経験を経て、「手術以前に、日常のちょっとした習慣で治せる痛みがある」「良かれと思ってやった運動で逆に体を壊している人が多すぎる」と痛感し、兵庫県明石市に中山クリニックを開業。

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