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アイデア出しは質より量! AIから「最低でも100案」引き出す方法

上岡正明(日本脳科学認知心理協会理事)

「AIアウトプットの全技法」

いまや、AIの活用法はデータ管理や分析にとどまらない。人間の得意分野とされてきたクリエイティブな分野においても、その存在感は強くなっている。今回は、「商品のネーミング」というシチュエーションを例に、具体的なAIの利用法を解説してもらった。

※本稿は、上岡正明著『最短で最大の成果を上げる AIアウトプットの全技法』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

商品名こそ、「数」が重要

良い名前は、ひらめきで降りてくるものではありません。

プロのコピーライターでも、下書きの段階では何百案と書き出しています。大量の候補を並べて、少しずつ削っていく過程で「これだ」が見つかる。それがネーミングの難しさです。

たとえば、伊藤園の「お~いお茶 濃い茶」。カテキンの健康効果をアピールした類似商品は多くありますが、「濃い茶」ほど一言で価値を言い切った名前はないように思います。先行者利益があるとはいえ、結局一番先に頭に浮かぶのは、名前が強い商品です。

商品名はお客さんが最初に触れる言葉です。ここが弱ければ、どれだけ中身が良くても手に取ってもらえません。

だからこそ、まずは数を出すことが大切です。AIに条件を渡せば、方向性の違う案が何十個と並びます。自分だけでは出てこなかったアイデアが、必ずそこに混ざっています。

ただし、「とにかく出して」とだけ頼むと無難な案に寄りがちです。

そこでこのプロンプトでは、「フックが強い」「ひと目で意味がわかる」「楽しそう」の3条件を掛け合わせています。制約があるからこそ、意外な切り口が生まれてきます。

では、商品名を考えるためのプロンプトをご覧ください。

プロンプト

以下の【企画】から、「フックが強い」「ひと目で意味がわかる」「楽しそう」の3条件をすべて満たすネーミング案を、その由来も添えて10個出してください。

【企画】
(ここに企画内容を入力)

【出力形式】
・ネーミング案+短い説明(由来・狙い)をセットで書くこと。
・似た方向性のものは3~5案ごとにグループ分けして、小見出しをつけてください。

 

実際にやってみよう!

今回のお題は「すごいドローンの新サービス」。あえてざっくりした企画にして、ネーミングの幅を広く取ってみます。3つの条件がどのように効いてくるか、AIの回答をご覧ください。

AIの回答

1.【直球・スピード系】(すぐ届く、すぐ動くが伝わる)
ソラクル:「空」から「来る」を合わせた造語。空から何かが届くワクワク感を4文字で表現。
秒飛び(ビョウトビ):「秒」で「飛んでくる」。とにかく待たせないスピード感が一瞬で伝わる。
空中ショートカット:渋滞も距離も関係なく最短で届くドローンの強みを、そのまま言葉にした。

2.【能力拡張系】(「重い・遠い」をドローンでハックする)
忘れ物ワープ:鍵を忘れた、財布を忘れた。家から今いる場所まで届けてくれる、往復の時間と体力をショートカットする救世主。
手ぶらウォーク:重い買い物袋をドローンが持って後ろをついてくる。「手が痛い」を消して、散歩気分で帰宅できる。
ウエカラ自撮り(上空カメラマン):自撮り棒では不可能なプロ級の俯瞰写真を、自分一人で撮れる。
最高の思い出を最高のアングルで。
どこでも見守り便:子どもの登下校や夜道を上空から併走して守る。防犯カメラが届かない場所を「動く目」がカバー。

3.【安全・手軽さを提供系】(登らず、近づかず、スマホで解決)
屋根ピカ点検:はしごを使わず、屋根の汚れや破損をスマホで確認。高所作業の「危ない・怖い」をドローンに丸投げ。
ノボラズ(登らず確認):雨樋の詰まり、壁のひび割れ。「ちょっと気になるけど放置していた高い所」を登らずに即解決。
さわらずマジック・アイ:ハチの巣の確認や高所の点検など、危険を伴う作業を、安全な距離から見通す。

 

10案で足りなければ、もう10案出せばいい

AIの回答を見て、「お、これは」と引っかかる案があれば理想的です。

でも、最初の10案でぴったりの名前が見つかることのほうが珍しいかもしれません。

そのときは、遠慮なく「もう10案ください」と追加してください。

AIは嫌な顔一つせず、何度でも出してくれます。20案、30案と重ねていくうちに、方向性のパターンが見えてきて、「この軸が自分のサービスに近い」と感じる瞬間が来ます。

今回の回答で言えば、「ソラクル」や「どこでも見守り便」は、名前を聞いただけでサービスの中身が伝わります。

ビジネスでは、こうした「説明がいらない名前」が圧倒的に強い。商品の名前そのものが営業してくれるからです。

逆に、どれだけセンスのいい造語でも、説明を聞かないと意味がわからない名前は、最初の接点で脱落するリスクが高いでしょう。ネーミングに迷ったら、「この名前だけで、何のサービスか伝わるか?」を判断基準にしてみてください。

それでもピンとこなければ、次の2つを試してみてください。1つ目は、条件の入れ替え。「楽しそう」を「信頼感がある」に変えるだけで、出てくる案の方向性はがらりと変わります。

なお、条件をランダムに変えて、と言えばAIは違う条件でネーミングを作ってくれます。2つ目は、ターゲット情報の追加。「40代男性向け」「子育て中のママ向け」と一言添えるだけで、言葉の選び方が具体的になります。

条件を変えて出し直し、また選ぶ。この繰り返しで候補は一気に厚みを増していきます。

私自身、新しい事業やサービスの名前を決めるときは、AIに最低でも100案は必ず出させます。

100案を眺めていると、だんだん自分の中に「好きな方向」と「違うと感じる方向」の境界線ができてきます。この感覚が持てたら、あとは絞り込むだけです。

ネーミングは、センスの勝負ではありません。大量の候補を前にして、選んで、捨てて、また選ぶ。その工程を踏んだ人だけが、「これしかない」と確信できる一言にたどり着けます。

名前が決まったら、次はキャッチコピー作りに進みましょう。

プロフィール

上岡正明(かみおか・まさあき)

日本脳科学認知心理協会理事

株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役社長。情報経営学科修了(MBA)。多摩大学客員講師。1975年生まれ。放送作家を経て、27歳でマーケティングコンサルティング会社を設立。これまで20年以上にわたり300社以上の企業ブランド構築を手がけ、企業広報・戦略PRの専門家として上場企業からスタートアップまで多数のクライアントを支援。著書は31冊、累計105万部を超える。ビジネス分野で屈指のアウトプット量を誇る起業家・投資家・YouTuberである。

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