
市場分析も競合調査も、もはや人が一から行う時代ではない。
※本稿は、上岡正明著『最短で最大の成果を上げる AIアウトプットの全技法』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
GeminiのDeep Researchは、テーマを入力するだけで、AIがネット上の情報を掘り下げ、レポートにまとめてくれる機能です。あちこちのサイトを開いて、コピーして、Excelに整理して...。半日がかりでやっていた市場分析・競合調査などのリサーチが、数分で終わります。
ただし、「○○について調べて」と丸投げするだけでは、表面的で使えないまとめになりがちです。実際の仕事で役立つ市場分析や競合調査にするには、少しコツがあります。
それは、MBAのフレームワーク(PEST・3C・SWOT)をプロンプトに組み込むことです。
「市場環境はどうか(PEST)」「競合はどこか(3C)」「強み・弱みは何か(SWOT)」といった視点を最初から指定しておくことで、AIは「このフレームワークに沿ってリサーチする」という明確な指針を持って情報を集めます。
結果として、誰がやっても、抜け漏れのない調査レポートが出力されるのです。
なお、フレームワークに限らず、「こういう視点でも調べて」と気軽にどんどん指示を追加していきましょう。それがDeep Researchを使いこなすコツです。
では、市場分析・競合調査のプロンプトをご覧ください。
以下の【テーマ】について、Deep Researchで多角的に調査してください。
【テーマ】
(ここに調べたいことを入力)
【指示】
1.多角化分析:PESTおよび3C(またはSWOT)を用いて、この市場の現状を構造化して報告してください。
2.徹底的な失敗調査:過去の失敗事例の「共通の死因」を5つ挙げてください。
3.不満リサーチ(重要):既存サービスに対するユーザーの具体的な不満(SNSやレビュー等の生の声)をカテゴリ別に抽出してください。
4.反証リサーチ:このビジネスが「うまくいく」という楽観論に対し、あえて「失敗する」と主張する専門家の意見や客観的データを3つ提示してください。
5.ボトルネックの特定:実行時に直面する「最大の地雷」と、その回避策を提案してください。
【出力形式】
・人間が「判断(Go/No-Go)」を下すための根拠となる数値を必ず含めること。
・最後に、結論を3行で要約すること。
Deep Researchが出力するレポートは、数千字に及びます。人間が同じ量の情報を集めて、整理して、レポートにまとめようとすれば、丸1日はかかります。
それが、数分で出てきますので、人はネットサーフィンをやめて、出てきたレポートを読んで「やるか、やらないか」を判断することだけに集中できるというわけです。
このプロンプトで特に重視しているのは、「失敗データ」の収集です。
成功事例は目立つので誰でも見つけられます。でも、過去に同じようなビジネスがなぜ失敗したのか、ユーザーがどんな不満を抱えていたのか——こうした情報は、自分で探そうとするとなかなか出てきません。
AIに「失敗の共通原因を5つ挙げて」「SNSやレビューからユーザーの生の不満を拾って」と指示することで、自分では気づけなかったリスクが一気に見えてきます。「反証リサーチ」も同じ発想です。
「うまくいく」と思い込んでいるときほど、あえてAIに「失敗する理由」を探させましょう。都合のいい情報だけで判断してしまう落とし穴を防ぐためです。
もちろん、全体像をざっくり把握したいだけなら、「○○の市場動向をまとめて」で十分です。「ソースはプレスリリースや官公庁の統計を優先して」と添えれば、情報の質も上がります。
AIに調査の作業をさせ、人間は判断に集中する。この役割分担を徹底するだけで、リサーチの時間は劇的に短くなり、判断の精度も上がります。
先に述べたようにDeep Researchのレポートは数千字以上ですので、ここでは見本は掲載いたしません。ぜひ、ご自身のテーマで実際に試してみてください。
仕事のリサーチでも、副業のアイデア検証でも、気になっている業界の調査でも、何でもかまいません。出てくるレポートの量と質に、きっと驚くはずです。
更新:06月27日 00:05