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なぜ「優しすぎる職場」から若手は去るのか 定着率を上げる意外な処方箋

2026年06月15日 公開
2026年06月15日 更新

上林周平([株]NEWONE 代表取締役)

「部下の心を動かす~」

ブラック企業は論外。しかし、優しすぎる職場もまた離職の原因になり得る。Z世代が求める「推せる職場」の条件について、マネジメント関連の著書を多く持つ上林周平氏に語ってもらった。

※本稿は、上林周平著『部下の心を動かすリーダーがやっていること』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

ホワイトすぎず、ブラックでもない「推せる職場」

心を動かす共感型マネジメントのゴールは、「推せる職場」をつくること。「推せる職場」は、メンバーの主体性を引き出すだけでなく、企業に確かなメリットをもたらします。簡単に整理すると「推せる職場」は働きやすさと、推し活のようなやりがい、つまり働きがいが両立した職場です。この働きがいが、実際に企業の業績に連動しているのです。

■働きやすさ: 柔軟な勤務形態、福利厚生、ワークライフバランスの配慮など、従業員が安心して快適に働ける外的な環境。

■ 働きがい:働いて得られる手応え、成長実感、自己効力感などの内的な主観。

たとえば日本経済新聞社では、働きやすさだけの企業よりも、働きやすさと働きがいが両立した企業(「プラチナ企業」と呼ばれています)のほうが、売上高増加率や株価純資産倍率(PBR)が高い傾向にあると報告されています。

興味深いのは、「働きやすさ」と「働きがい」のどちらが業績に効いているのか、という視点です。データを比較すると、働きやすさは高いが働きがいが低い「ホワイト企業」よりも、たとえ働きやすさが低くても働きがいが高い企業のほうが、売上高増加率やPBRは上回るというのです。

このように、「推せる職場」の実現は、事業成長へのパワーになります。

 

世代間ギャップとは、価値観のギャップ

ただ注意しないといけないのは、やりがいを搾取するブラックな職場になってしまってはいけない、ということです。

メンバーにとっての仕事のやりがい、働きがいの中には、職場への影響力のほかに自己成長も含まれます。特に若い世代ほど、自分の力で社会を生き抜いていかねばならない危機感を持っているので、成長機会のない職場は「優しすぎる」「ホワイトすぎる」と感じて離職のきっかけになるくらいです。職場がぬるすぎると、自分が労力をかけているという「投資」の実感も持ちにくくなります。

ならば『巨人の星』の星一徹のような、『タイガーマスク』の虎の穴のような、スパルタでストイックな環境がよいのかといえば、それは昭和なブラック企業です。

人によっては、いくらか理不尽な目にあってきたとしても「あの過去があったから今がある」とポジティブ転換できます。事実、そういう面はあると私も思います。ただこれは自分の経験だからこそ、そう言えるわけで、同じ価値観を他人から押し付けられても理解できるわけではありません。

特にZ世代以降の若い人たちは、職場を選べる環境に生きていて、自分で選び取ることに価値を感じます。スパルタでストイックな環境であろうと、ぬるま湯のような優しい環境であろうと、主体的に参加していることが大事なのです。

世代間ギャップとは、価値観のギャップです。簡単に埋めることなどできません。

だからこそ本書で繰り返し述べてきた、小さな共感の積み重ねが必要です。極端なホワイトでもブラックでもなく、まず職場の人間関係の中で共感をつくること。価値観の違いも認め合うこと。その先に、メンバーの望む成長とは何かが見えてきます。

プロフィール

上林周平(かみばやし・しゅうへい)

㈱NEWONE 代表取締役

大阪大学人間科学部卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。BPRや民営化に関するコンサルティングに従事。2002年株式会社シェイク入社。人材育成事業の立ち上げを行い、商品開発責任者として従事。2015年代表取締役副社長に就任。2017年9月エンゲージメント向上支援を目的に、株式会社NEWONEを設立。著書に、『部下の心を動かすリーダーがやっていること』(アスコム)などがある。

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