
AIは今や会議の要約や進捗管理だけでなく、マネジメント業務そのものを担い始めている。そんな時代だからこそ重要になる、人にしかできないリーダーの役割はあるのだろうか。マネジメント関連の著書を多く持つ上林周平氏に語ってもらった。
※本稿は、上林周平著『部下の心を動かすリーダーがやっていること』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
ここ数年で、SaaSツールの普及によって業務効率化は大きく進みました。
チャットやコラボレーションツールによって情報共有は容易になり、ウェブ会議を使えば、離れた場所にいてもすぐに打ち合わせができるようになりました。
そして今、生成AIは驚くべき速さで職場に浸透しています。
さらにAIの進化が、業務を加速度的に変えています。
会議の議事録や要約が自動で生成されるのは当たり前になりつつあり、SlackやTeams上での会話から「誰がどんなタイプのメンバーなのか」を分析して、リーダーにフィードバックするAIも出始めています。
また、メンバーがAIとチャットで対話しながら自分の働き方を振り返り、課題が見えたタイミングでAIが「この点はリーダーに相談してください」と通知してくれるような仕組みも登場しています。
「残業時間の把握」「1on1の議事録管理」「評価コメントの整理」などは、近い将来AIが自動でこなすようになるでしょう。
「だったら、マネージャーはいらないのでは?」そんな声すら聞こえてきます。しかし実際には逆です。AIの普及によって、リーダーの役割はますます重要になるのです。
AIは定型業務や情報処理を得意とします。
■膨大なデータから最適な選択肢を提示する
■進捗を自動でチェックし、アラートを出す
■企画や提案を素早く形にする
こうした領域は、これからますますAIに任せていくべきでしょう。
これまでリーダーが担ってきたマネジメント業務のうち、オペレーショナルで定型的な部分はAIに代替されていくのです。
一方で、AIに決して代替できないものがあります。
■メンバーの感情理解:「今不安を感じているのか」「ワクワクしているのか」といった細かな感情の機微を見抜く力。
■個人の価値観との対話:「なぜこの仕事をするのか」という意味を共に探り、本人の納得感をつくる力。
■チームの士気づくり:「このチームだから頑張れる」と思える空気をつくる力。
■ビジョンの創出:チームで実現したい未来を描く力。
AIは「正解」を提示できますが、問いを立てることや、人の心を震わせることはできません。AI時代において、「共感を生み出す力」がリーダーには求められているのです。
数字や計画を管理するのではなく、人の感情や価値観を理解し、チームを自発的に動かしていくこと。
AIは効率を最大化しますが、そこに熱や意味を与えるのは人間にしかできません。
あなたの職場では、AIが担える領域と、人にしかできない領域が区別されていますか?そしてあなた自身は、「AIに任せられない部分」を果たすリーダーになれているでしょうか?
AI時代に差がつくのは、人を理解し、共感で動かす力です。
共感型マネジメントこそ、これからのリーダーの必須スキルなのです。
更新:06月12日 00:05