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三大商社は東大・慶應・早稲田で約6割 就職ランキングの現実

山川清弘(東洋経済新報社『株式ウイークリー』編集長)

「教養としての~」

商社、不動産、銀行といった人気職種のトップ企業は、どのような学生を採用しているのか?就活戦線の最前線について解説する。

※本稿は、山川清弘著『教養としての 三菱・三井・住友』(飛鳥新社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

主要企業2025年大学別就職者数ランキング

ここからは、各グループの主要企業の大学別就職者数ランキングを紹介していきますが、各業種を見る前に、まずは総論を述べておきましょう。

現在、商社や銀行が就職人気で上位を独占していた時代は終わり、外資系コンサルティング会社が人気になっています。大学通信の井沢秀・取締役は「東大生の就職先の1位はアクセンチュア、2位が野村総合研究所で、3位がEYストラテジー・アンド・コンサルティングになっています」と教えてくれました。

とはいえ商社の人気がなくなったわけではなく、また旧財閥系の大手企業への就職意欲は衰えていないそうです。「給与水準が高く、福利厚生も含めて高いレベルで安定している大手企業ですから、人気の高さは昔と変わっていません」(井沢氏)。

国立大学、有力私立大学や専門性の高い理系大学などでないと、大手企業への就職はまだまだ狭き門です。

「大学通信の調査に回答した568大学のうち、三菱UFJ銀行か三井住友銀行に一人でも就職した大学は83大学しかないです。一般職と総合職があった時代には女子大が上位にランクインすることもありましたが、総合職に統一されていくとそれがなくなり、早慶などに収れんしている印象です」(井沢氏)。

ただ、よい兆しもあります。文部科学省・厚生労働省・経済産業省の3つの省が共同で策定した、インターンシップや採用活動に関するルールが劇的に変わりました。いわゆる「3省合意」で、今回のランキングの対象となった2025年新卒者から、「インターンシップが実質的に採用選考に直結する」ことが公認されたのです。

インターンが実質的な「一次選考」となり、大学3年生の夏や冬のインターンに参加できるかどうかが内定への大きな分かれ道となるので学生は大変な面もあります。ただ「企業は長期間腰を据えた採用活動ができるようになり、上位大学に限らず人物本位で広く優秀な学生を探すようになると期待されています」(井沢氏)。

 

商社――三菱商事、三井物産、住友商事

学生に人気の商社から始めましょう。三菱商事、三井物産、住友商事の3社とも、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学がトップ3を占めています。「この3大学が3社全体の就職者数に占める割合は、東大が22.6%、慶應が19.7%、早稲田が17.1%で、合わせると約6割に達します」(井沢氏)。

いわば3大学に行かないと商社に入れないようなイメージですね。過去には一橋大学が強い時期もありましたが、外資系コンサルティング会社などへ志向が移っているようです。

下位の大学では3社とも国立大学が多いです。「国立大学は研究環境が充実しているし、大学院修了の人も多いのでしょう」(井沢氏)。商社は取り扱っている商品が多岐にわたっているため、高度な専門知識が求められることから、入試でも多数の科目で受験した国立大生の方が有利なのかもしれませんね。

東京外国語大学や国際基督教大学(ICU)がランクインしているのも特徴的で、世界を股にかけたビジネスには、語学力も期待されていることがうかがえます。

「教養としての~」

 

不動産――三菱地所、三井不動産、住友不動産

不動産も学生の人気が高い業種ですね。こちらも早慶と東大が強いですが、商社と比べるとトップ10大学の合計人数がそこまで多くない一方で、全国の国立から私立まで、かなりバリエーションに富んでいる印象があります。

大手は大都市での大規模再開発などビッグプロジェクトに関わることも多く、「大規模な街づくりをしたいという学生は多いです」(井沢氏)。慶應大学が優勢なのも、より大きな仕事をしたがる傾向を示しているのかもしれません。

全国の大学からまんべんなく採用しているのは、支店など営業を行うエリアが日本各地に広がっているからだと考えられます。3社とも全国型総合職採用なので全国へ転勤する可能性がありますが、逆に言えば自分の出身地で働くチャンスもあるということかもしれません。

「教養としての~」

 

銀行――三菱UFJ銀行、三井住友銀行

慶應と早稲田の差は僅差に見えますが、「卒業者数全体で見ると、2025年は慶應の7706人に対して早稲田は1万1602人もいます。だから実質的には、慶應が他大を圧倒して金融機関就職に強いと言えます」(井沢氏)。

慶應はOB・OG組織「三田会」があり、企業ごとの三田会もあります。金融業界関連の三田会の総称として「金融三田会」と言われるほど非常に強い団結力とネットワークを持っており、就活から入社後のフォローまで行き届いているのでしょう。

早稲田にも「稲門会」という組織があるものの、三田会ほど強力ではないので、その差が出ているのかもしれませんね。

また、下位には国立難関大学ながら、全国各地から採用しています。全国に支店を持つメガバンクであること、エリア別採用を経て、近年は全国総合職に一本化したものの、望まない転勤はさせない人事方針にシフトしたこともあり、地方大学から応募しやすくなっていることも要因と言えるでしょう。

「教養としての~」

プロフィール

山川清弘(やまかわ・きよひろ)

東洋経済新報社『株式ウイークリー』編集長

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て「会社四季報オンライン」編集部編集委員。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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