
コンビニがまだ知られていなかった時代、セブン‐
※本稿は、村尾信一 著『鈴木敏文の遺言』(ビジネス社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
1974年にオープンしたセブン‐イレブンの1号店・豊洲店で初めて売れた商品がサングラスであったことはあまりにも有名な話である。オープン直後の早朝7時ごろ、立ち寄ったトラックドライバーのお客様が買い求めたものだ。
今でも残されている当時の店内を撮影した写真を見ると、陳列棚には洗剤の大きな箱、トイレットペ―パーなどの大ぶりな雑貨品、食料品ではカップラーメン(まだ袋ラーメンのほうが多い)や調味料、お菓子などが並んでいる。雑貨や食料品といった日用品を扱った小さなお店という印象だ。
きっと当時のお客様は何を売っているお店なのかわからず、恐る恐る店内に入ってきたのだろう。
豊洲店オープンの翌年には、福島県での出店を開始しているのだが、70年代の黎明期を知る福島県のとある古参オーナーから、こんな話を聞いたことがある。
「田舎のお店なんで、地元の人たちは、誰もセブン‐イレブンやコンビニというものを知りませんでした。だから、みんな入口で靴を脱いでから店内に入ってくるんです。床があまりにも白くて綺麗だったので、土足で上がってはいけないと勘違いしたんでしょうね」
今でこそ、コンビニを知らない人はいない。だが、まだ存在を認識されていない時代では無理もないことだと思う。そんなセブン‐イレブンが存在感を高めることにひと役買ったのは、まちがいなく「おにぎり」だったのではないだろうか。
その後も、さまざまなイノベーションによって画期的な商品を次々と世に送り出していくセブン‐イレブンだが、最初にして、最大の商品開発こそが「おにぎり」だったと断言できる。
事実、今でも最強の主力商品として売れ続けている。
更新:08月07日 00:05