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邦訳が続々!「韓国文学」が人気の理由とは?

2019年04月17日 公開

金承福(クオン代表取締役)

 

「韓国文学」のコーナーを書店に作るところから

 そこでクオンが刊行を始めたのが、「新しい韓国の文学」シリーズだ。2011年6月にシリーズ第1作の『菜食主義者』(ハン・ガン著)が出版され、現在までに19冊が出ている。

「このシリーズでは、00年以降に発表された、文学賞を受賞するなどしたクオリティの高い作品で、一般の方にも面白いと思っていただけるものを選んで出版しています。

『菜食主義者』は、発刊してすぐに新聞各紙の書評に取り上げていただきました。日本の人気デザイナーである寄藤文平さんと鈴木千佳子さんにお願いした装丁を褒めていただいた書評も多かったですね。

 書店の方からは、この装丁のおかげで、若い女性にも手に取っていただいていると聞いています」

 シリーズを立ち上げたものの、当時は書店に韓国文学のコーナーがなかった。そこで金氏は、「韓国文学」と書いた、棚に差すプレートを自作し、配って歩いた。

「『アジア文学』や『中国文学』はあっても、『韓国文学』のコーナーはありませんでした。そこで、『新しい韓国の文学』シリーズの営業をする際に、自作したプレートも持って行き、棚に差すことを提案したのです。これからどんどん出していくので、棚を空けておいてほしいともお願いしました。

 装丁や書評のおかげで、韓国の小説を読んだことがなかった書店の方にも、快く置いていただけました」

 

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著者紹介

金 承福(キム・スンボク)

〔株〕クオン代表取締役

1969年、韓国生まれ。91年、留学のために来日。93年、日本大学芸術学部に入学し、文芸評論を専攻する。卒業後、広告会社を経て、2001年に独立。07年、〔株〕クオンを設立。K-BOOK振興会を立ち上げ、その事務局長も務めている。15年には神保町に韓国語原書・韓国関連本を専門に扱うブックカフェ「CHEKCCORI(チェッコリ)」をオープン。

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