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邦訳が続々!「韓国文学」が人気の理由とは?

2019年04月17日 公開

金承福(クオン代表取締役)

 

日本の人気作家との対談イベントも

 さらに金氏は、他の出版社からも韓国の小説を出版してもらうことを考えた。そうなれば、書店の「韓国文学」のコーナーが広がる。そこで立ち上げたのが、K-BOOK振興会だ。

「まだ日本語に訳されていない韓国の本を紹介する『日本語で読みたい韓国の本 おすすめ50選』という冊子を、年に1回作って、各出版社に渡したり、説明会を開いたりしています。この冊子を読んで翻訳の検討をしていただけることが増えてきました。

 韓国の出版社や出版関連のトピックスを紹介する記事、韓国の小説の日本語訳出版を担当した編集者にその経緯について聞く記事なども掲載しています」

「新しい韓国の文学」シリーズの本を読んで、同じ作者の別の作品を出す出版社も現れるようになった。

 また、出版した小説の作者を招き、イベントも積極的に開催している。

「中村文則さんや平野啓一郎さん、朝井リョウさんなど、日本の著名な作家との対談イベントを行なってきました。すると、メディアに取り上げられる機会も増え、読者や書店の方により広く知っていただけます。詩人のシン・ギョンニム(申庚林)さんと谷川俊太郎さんとの対談は本にもしました」

 日本の作家による韓国文学評からは、作家同士ならではのリスペクトも感じられる。

 例えば平野啓一郎氏は、クオンが発行しているフリーペーパー『ちぇっく CHECK』で、キム・ヨンス氏の作品『世界の果て、彼女』(クオン刊)について、「断言するが、日本の文壇で、こんな小説を書ける作家は、私を含めて近い世代にはまずいない」「この作者は『人間』をよく知っているという、疑いのない、重い手応えがある」と書いている。

「『ショウコの微笑』(クオン刊)の作者であるチェ・ウニョンさんとの対談で、温又柔さんが、小説家としてやられたとおっしゃったこともあります。

 平野さんや中村文則さん、星野智幸さんなどは、東アジア文学フォーラムにも参加されていて、韓国の作家と交流を持たれています。そのような作家の皆さんによる発信も、韓国の小説が広く読まれるようになってきている大きな要因だと思います」

 

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著者紹介

金 承福(キム・スンボク)

〔株〕クオン代表取締役

1969年、韓国生まれ。91年、留学のために来日。93年、日本大学芸術学部に入学し、文芸評論を専攻する。卒業後、広告会社を経て、2001年に独立。07年、〔株〕クオンを設立。K-BOOK振興会を立ち上げ、その事務局長も務めている。15年には神保町に韓国語原書・韓国関連本を専門に扱うブックカフェ「CHEKCCORI(チェッコリ)」をオープン。

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