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邦訳が続々!「韓国文学」が人気の理由とは?

2019年04月17日 公開

金承福(クオン代表取締役)

 

海外文学ファンから選ばれる小説へ

 では、韓国の小説を読んでいる日本の読者には、どんな人が多いのだろうか。

「今では、韓国文化に興味がある人に限らず、海外文学や小説一般が好きな人に広く読まれるようになりました。

 転機は、15年に、ヒョン・ジェフンさんと斎藤真理子さんが共訳された、パク・ミンギュさんの『カステラ』(クレイン刊)が日本翻訳大賞を受賞したことだと思います。柴田元幸さん、金原瑞人さん、岸本佐知子さん、西崎憲さん、松永美穂さんという著名な翻訳家が選考委員を務める賞を受賞したことで、海外文学が好きな人たちの目に、韓国の小説が留まりました」

『カステラ』は、若者が抱える切なさを、ユーモアのある、シュールな表現で描いた作品が収められた短編集だ。

「16年には、ハン・ガンさんが、『菜食主義者』の英訳版でマン・ブッカー国際賞を受賞しました。アジア人の受賞は初めてです。これによって、韓国の小説の評価がまた高まりました」

 17年5月には白水社がパク・ミンギュ氏の『ピンポン』を出版し、同年10月には晶文社が「韓国文学のオクリモノ」シリーズの第1作としてハン・ガン氏の『ギリシャ語の時間』を出版した。

「海外文学の老舗出版社が相次いで韓国の小説を出したことで、海外文学の読者にとって、韓国の小説がさらに身近なものになったと思います」

 

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韓国の小説の魅力は社会が透けて見えること >

著者紹介

金 承福(キム・スンボク)

〔株〕クオン代表取締役

1969年、韓国生まれ。91年、留学のために来日。93年、日本大学芸術学部に入学し、文芸評論を専攻する。卒業後、広告会社を経て、2001年に独立。07年、〔株〕クオンを設立。K-BOOK振興会を立ち上げ、その事務局長も務めている。15年には神保町に韓国語原書・韓国関連本を専門に扱うブックカフェ「CHEKCCORI(チェッコリ)」をオープン。

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