2018年04月27日 公開
2023年03月16日 更新
仕事をするうえでの悩みとして常に上位にあるのは人間関係。上司や部下、取引先など、仕事で係わる人たちとうまくコミュニケーションを取るためには、どんな心理テクニックが必要なのか。ビジネス心理学の第一人者として活躍する内藤誼人氏に、職場におけるコミュニケーションの秘訣をうかがった。
コミュニケーションスキルという言葉が、やたらと取り沙汰されるようになったのはわりと最近のことです。
なぜなら、以前は誰もが大人になるまでに自然とコミュニケーションスキルを身につけていたからです。兄弟が多く、近所とのつきあいや3世帯同居もごく当たり前。学校の部活動で上下関係を教え込まれ、会社に入れば飲み会や社員旅行などの濃密なつきあいがある。幅広い世代のさまざまな立場の人に揉まれる環境が当たり前だったので、わざわざ学ぶまでもなかったのです。
しかし、今は核家族・少子化が進み、近所づきあいも薄れ、部活動より塾優先という環境で育ってきた社会人が増えています。これまで同級生など限られた範囲での人づきあいだけだった人が会社に入り、上司や取引先など年齢も立場も異なる人とのつきあい方に戸惑うのも、ある意味仕方のないことなのです。
実際、仕事における対人関係で悩んでいるビジネスマンの声は私もよく耳にします。そのニーズに応えて、会話力や自己表現力を高めるさまざまなメソッドやテクニックも紹介されています。しかし、その方法に頼る以前に、誰でも超簡単に職場の人間関係を改善できる最強の心理的アプローチがあるのです。
それは「挨拶・名前を呼ぶ・笑顔」のたった3つの方法です。そんなことか、と少し拍子抜けする人もいるかもしれません。しかし、この3つができている人は意外と少ないのです。
想像してみてください。「○○さん、お疲れ様です」といつも笑顔で名前を呼んで挨拶してくれる相手を嫌うことはできますか? その人が頼みごとをしてきたら、なんとか力になってあげたいと思うでしょう。
しかし、普段はすれ違ってもろくに挨拶もしない人であれば、どんなに巧みな言葉で頼みごとをされても、快く引き受けたいという気持ちにはならないはずです。「挨拶・名前を呼ぶ・笑顔」は心理テクニック以前に人間関係を良くする土台。これをせずして、テクニックだけを学んでも、人を動かすことはできないのです。
更新:11月22日 00:05