2018年03月14日 公開
2023年03月23日 更新
では、ビジネスマンは現場の数字をどのように把握して分析すればいいのか。具体的な技術をいくつか伝授しましょう。
まずやってほしいのは、意識して「プロセスごとに数える」こと。先ほどお話しした通り、どんな仕事にも「材料(インプット)」と「成果物(アウトプット)」のあいだにはいくつものプロセスが存在します。しかし、プロセスを見ずにインプットとアウトプットの数字だけを比較して、問題点を見失っていることが多いのです。
たとえば営業で、見込み客リスト(=インプット)が100人、テレアポでアポがとれたのが20人、契約できたのが十人(=アウトプット)だったとします。ここで、インプットの百人とアウトプットの10人を比較するだけでは、途中のプロセスのどこを改善すればアウトプットを高めることができるかわかりませんが、それぞれのプロセスごとに数字を比較すれば見えてきます。最初のプロセスは×0.2で、次のプロセスは×0.5。差が大きい、言わば「断崖」になっているのは最初のプロセスなので、このプロセスの改善余地が大きいと判断できます。それがわかれば、電話前に見込み客の情報を調べて、客にあったキャンペーン情報を提供するなどの改善策を展開できます。
試行錯誤して限界までそのプロセスを改善したら、次に大きい断崖を見直します。見直し方がわからなければ、「契約」を「商談」、「見積もり」、「契約」というように、プロセスをさらに細分化します。その中で差が大きいものから見直しをします。この繰り返しで、断崖をなるべくなだらかな階段にしていってください。
最後に、数字力を高めるための訓練法をご紹介しましょう。
孫社長はいつも「フォースで数字がわかるようになれ」と言っていました。フォースとは、「スター・ウォーズ」に出てくるジェダイの騎士が使う特殊能力のこと。本気でフォースを使えといっているわけではありません。孫社長が言いたかったのは、計算する前にまず予想して、数字についての勘を磨けということ。その勘どころのことをフォースと呼んでいたのです。
たとえば数学で図形の面積を求める問題があったとします。このときいきなり問題を解くのではなく、まずは図の大きさから「だいたい20平方センチメートルくらい」とあたりをつけます。予測した後に実際に計算して100平方センチメートルになったら、式や計算が間違っている可能性が高いと気づくことができます。
もちろん最初の予測が的外れなこともあるので、検証は必要です。しかし、最初にあたりをつけることで勘が養われます。
《『THE21』2018年3月号より》
更新:11月22日 00:05