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血圧を下げる「カリウムが豊富な食材」とは? 高血圧専門医が解説

渡辺尚彦(高血圧専門医)

野菜

高血圧専門医の渡辺尚彦氏は、「減塩」をしても血圧が思うように下がらない場合、解決の糸口として「カリウムの摂取」が重要になることがあるといいます。

その理由は、カリウムには食塩に含まれるナトリウムを体外へ排出する働きがあるためです。ナトリウムを過剰に摂取すると血圧が上がりやすくなりますが、カリウムを十分に摂ることで尿として排出されやすくなり、血圧の安定につながるのです。

本稿では、1日に必要なカリウムの摂取量や、カリウムを多く含む食材について、書籍『血圧を下げるのに減塩はいらない! ナトカリ比であなたの血圧は下がる』より紹介します。

※腎機能がステージG3b以上に低下している方はカリウムを体外に排出しにくく、高カリウム血症など重篤なリスクがあるため、摂取は自己判断せず必ず医師の指示に従ってください。

※本稿は、渡辺尚彦著『血圧を下げるのに減塩はいらない! ナトカリ比であなたの血圧は下がる』(アスコム)より一部抜粋・編集したものです。

 

意識的なカリウム摂取があなたの未来を変える

ナトカリ比とは、ナトリウム量をカリウム量で割った比率

(ナトリウム量 ÷ カリウム量)のことをいいます。

そして、この比率が血圧の健康管理に非常に重要だと考えられています。

例えば、1日にナトリウムを3g(塩分に換算すると約7.5g)摂っている人がいたとします。この量は、日本血圧学会が推奨する範囲を少し超えており、高血圧リスクがある食事といえます。

しかし、この人がカリウムを同時に3g摂っていれば、ナトカリ比は3÷3で「1」となります。

塩分がやや多めでも、ナトカリ比が1未満であれば、血圧は上がりにくく、安定しやすくなるのです。

逆に、ナトリウム3gに対してカリウムが0.5gしか摂れていない場合、ナトカリ比は3÷0.5で「6」になります。

ナトカリ比が4を超える状態を続けると、高血圧のリスクが高まり、脳卒中や心筋梗塞などを発症する可能性も増えてきます。

このように、同じ塩分量であっても、カリウムの摂取量次第でナトカリ比は大きく変わり、血圧への影響も変化します。

アメリカでは1990年代から、ナトカリ比に注目し、国立心肺血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)が「DASH食」という食事法を提案していました。

これは、ナトカリ比を意識して、ナトリウムを控えつつ、カリウムを豊富に含む野菜や果物、豆類などを積極的に摂ることで血圧を下げることを目的とした食事法です。

日本でもナトカリ比と血圧の関係は以前から知られていましたが、長年の高血圧対策の中心は「減塩」が第一でした。

しかし、世界的にナトカリ比の重要性が認識されるようになり、日本にも変化が見られます。

2024年に日本高血圧学会が「ナトカリ比の目標値」を正式に設定しました。

さらに、2025年秋にはガイドラインも改訂され、「1日の食塩摂取量を6g未満に抑えつつ、カリウムを含む食品を積極的に摂る」という、ナトカリ比を意識した内容に変更されたのです。

現時点では、マスコミなどでナトカリ比が取り上げられる機会はまだ少ないですが、これからは血圧のコントロールや生活習慣病予防に関する記事やテレビ番組で、ナトカリ比という言葉を耳にする機会は増えていくと考えられます。血圧を下げる方法は、減塩だけでは不十分です。

減塩に加えて、カリウムの摂取を意識することが重要なのです。

とくに「減塩食を実践しているのに血圧が改善しない」と悩んでいる人は、カリウム不足が原因である可能性があります。

 

カリウムを多く含む食材にズームイン!

血圧を下げるためには、カリウムが豊富に含まれた食材を食べて、ナトカリ比を下げるのがポイントです。

では、どんな食材にカリウムが多く含まれているのか。

じつは、ほぼすべての食材にカリウムは含まれています。

なぜなら、人間だけでなく、植物や動物にとっても、カリウムは必須ミネラルだからです。

もちろん、食材によってカリウム量の大小はあります。

ここでは、カリウムが豊富に含まれている食材を紹介していきましょう。

 

とくに豊富に含まれているのは、青菜類です。

葉の部分は細胞内に水分やミネラルを多く含み、とくに「色の濃い葉物ほどカリウムが多い」という傾向があります。

具体的には、ほうれん草(100gあたりカリウム690mg。以下、カッコ内は100gあたりのカリウム量)、春菊(460mg)、明日葉(540mg)、モロヘイヤ(530mg)、にら(510mg)、小松菜(500mg)など。

ブロッコリー(460mg)、キャベツ(200mg)、レタス(200mg)などの葉物野菜は、青菜類に比べるとカリウム量はちょっと減りますが、そのかわりに量を食べられるので重宝します。

いも類も優秀で、里芋(640mg)、さつまいも(480mg)、長芋(430mg)、じゃがいも(410mg)などが代表例です。いもは炭水化物も多く主食としても使えるうえに、カリウム量も野菜並みに多いのが特徴です。

根菜類や果菜類では、大根(230mg)、にんじん(300mg)、ごぼう(320mg)、トマト(210mg)などがカリウムの多い食材です。こちらも日常的な野菜で、量を食べやすいので、カリウム補充に役立ってくれます。

どんなに少なくても、野菜にはおおむね100gあたり200~700mgのカリウムが含まれています。

わざわざ成分を計算するのが面倒なので、とりあえず野菜をたくさん食べるようにするという方法でもかまいません。

 

プロフィール

渡辺尚彦(わたなべ・よしひこ)

医学博士、高血圧専門医、医学博士

日本歯科大学生命歯学部内科客員教授・同大学病院内科臨床教授、前東京女子医科大学東医療センター内科教授。専門は高血圧を中心とした循環器病。
1952年、千葉県生まれ。1978年、聖マリアンナ医科大学医学部卒業、1984年、同大学院博士課程修了。1995年、ミネソタ大学時間生物学研究所客員助教授として渡米。1987年8月から連続携帯型血圧計を装置し、以来、365日24時間血圧を測定。現在も引き続き連続装着記録更新中。高血圧改善のための生活上のポイントを「渡辺式血圧を低下10カ条」にまとめ、「渡辺式血圧を低下音頭」を作詞作曲するなど、楽しく、わかりやすい指導には定評がある。『血圧を下げる最強の方法』『ズボラでもみるみる下がる 測るだけ血圧手帳』(アスコム)など著書多数。

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