2017年08月16日 公開
2023年03月23日 更新
現在の日本を代表する経営者である孫正義ソフトバンク社長。ソフトバンク社長室長を務め、その仕事を一番間近から見てきた三木雄信氏は、その仕事術の極意の一つは「数値化」にあると語る。前編ではその「目標の数値化」の効果について語っていただいたが、後編では引き続き「目標の数値化」によって成果を出すためのコツについてうかがった。
私が講演会で「数値化が大事だ」と話すと、こんな反応が返ってきます。
「うちの会社は数字に細かくて、会議で資料を見るたびにうんざりします。そのくせ、売上も利益も全然上がらないんですよ」
「上司から『数字で考えろ』と言われるので、とりあえず数字を並べて資料を作ってみたものの、結局使ってもらえず、上司の机の上に置きっ放しにされています」
どうやら大企業や伝統的な企業ほど、「数値化はしているが、役に立っていない」という状況が起こりがちなようです。
私はいくつもの企業や組織から問題解決を依頼されてきましたが、数値化がうまくいかない理由として最も多いのが、「『分け方』が甘い、あるいは不適切」ということです。
前編で紹介した、ある企業の営業部の事例を思い出してください。
この会社でも、全体の売上や受注件数しか数字を出さず、「分ける」という作業を適切に行っていませんでした。
そこで私は、「新規顧客獲得数」を「初回だけで解約した顧客」と「2回目以降も受注を継続した顧客」に分け、さらに「業種ごと」に分けて数字を出しました。
だからこそ、「受注継続率が低い」「顧客の業種によって継続率に差がある」という問題を発見し、「美容業界に集中して営業をかける」という有効な解決策を見出すことができました。
分け方が甘いままだったら、いまだに手当たり次第に売り込みをかけては、「頑張っているのに、売上が伸びない……」と頭を抱える状況が続いていたでしょう。
もし「数値化しているのに、問題が解決しない」という場合は、ぜひ分け方を見直すことをお勧めします。
それが問題解決の突破口になるケースは、かなり多いからです。
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更新:11月22日 00:05