2017年09月14日 公開
世界初の、感情を認識し、自らの感情を持つロボット「Pepper」の開発・販売を手がけるソフトバンクロボティクス。時代に先駆け世界を驚かせるロボット開発に挑む人々は、どのようなムダ削減に取り組んでいるのだろうか。時短と投資の両立による生産性向上の取り組みについて、冨澤文秀社長に話をうかがった。《取材・構成=前田はるみ、写真撮影=長谷川博一》
人の感情を認識し、さらに自らの感情を持つヒト型ロボット「Pepper」が誕生して3年余り。ソフトバンクショップの店頭や企業の受付をはじめ、さまざまなシーンで見かけるようになった。ソフトバンクロボティクスではこのPepperの他にも常にさまざまなアイデアが検討されており、商品化に向けて技術者の挑戦が続いているという。成長産業としての期待が高いロボット産業は、競争も激しい。
同社社長の冨澤文秀氏は、「どの事業でもそうですが、ロボット事業ではとくにスピードが大事」と話す。
「たとえば、これまでなかった機能を確実に担えるロボットが登場したら──もちろんコストに見合うことが前提ですが──そのロボットは市場を瞬く間に独占します。産業の初期のステージは、『早い者勝ち』。常に焦りはありますね」
ただ、世の中にないロボットを生み出すには、膨大な手間と時間がかかる。開発スピードを上げるために心がけていることのひとつは、「やり方を根本的に変えること」だという。
「たとえば、以前は1から10まで自分たちで開発していましたが、それでは限界があることに気づきました。そこで今は、該当する技術を持つ会社とパートナーを組み、世界中の最新技術を組み合わせて商品化を進める方法をとっています。こうして、最新の技術を選択しながら、開発スピードの飛躍的な短縮を実現できるようになりました」
もうひとつのポイントが、「意思決定に関わるムダをなくす」ことだ。
「なんでも上にお伺いを立てないと進まないような組織では、効率は非常に悪くなる。どうしても確認すべき事柄以外は、自分たちで判断できるよう、部下への権限委譲を進めることが重要です」
そのためには普段からのコミュニケーションが重要だと言う。
「社長である私が組織運営上で何を大事にしているのかという、〝勘所〟を理解してもらうことが大切。社長はどんな点にこだわるとか、ここは勝手に進めて大丈夫だとか、そういうポイントです。社内ミーティングや会議の場で、あるいは日頃のコミュニケーションを通じて、それを理解してもらえるよう心がけています」
更新:11月22日 00:05