夕方5時になると誰もいなくなる会社「ランクアップ」。子育て中の女性社員も多数活躍し、業績は10年連続右肩上がりで成長中。かつてブラック企業に勤務していたという岩崎裕美子社長は、いかにして残業ゼロの会社を作ったのか。そこには"のっぴきならない事情"があったという。(取材・構成=前田はるみ、写真撮影=まるやゆういち)
※本稿は、『THE21』2017年8月号特集「1時間以上早く仕事が片づく!すごい時短術」を一部編集したものです。
17時になると社員が一斉に退社する「5時ピタ」文化。それでも売上げは10年間右肩上がりの会社として知られる、化粧品通販「ランクアップ」。
ただ、社長の岩崎裕美子氏は、最初から残業ゼロを目指したわけではなかった。社員の95%が女性で、岩崎氏を含む約半数が働くママ。そんな同社独自の事情から、残業を"撲滅せざるを得なかった"のが実情だという。
「私は以前、"超ブラック"な広告代理店の取締役でした。私自身、仕事が大好きでしたし、同業他社に負けないよう、社員を夜中まで働かせていました。売上げは伸びましたが、女性が多かった職場の離職率は100%。有能な社員も、結婚や出産で長時間働けなくなれば居場所がなくなる、そんな会社に見切りをつけて辞めていきました。
私は当時、35歳で独身でしたが、将来結婚や出産をすれば戦力外通告されるのは自分も同じ。だったら『女性が一生活躍できる会社を作ろう』と思い、立ち上げたのが、『ランクアップ』です」
創業当初は、多少の残業は容認していた。しかし岩崎氏自身の出産を機に、残業ゼロを徹底するようになったという。
「19時に会社を出れば十分早いと思っていましたが、育児をしてみて、これは大変だと。保育園の送迎などの時間的制限や、子供の急な発熱などの突発事項を抱えながらの仕事は、生半可ではありません。
社員が安心して出産し、働き続けるためには、定時に帰れる会社にするしかないと決めました。そうでないと、女性が95%の当社では社員が辞めてしまいます。社員が辞めれば会社は成り立たず、私の創業時の想いも叶いません」
更新:11月25日 00:05