2016年10月22日 公開
2023年05月16日 更新
夏野氏といえば、テレビ番組での鋭いコメントでも知られる。その秘訣も、新人アイドルの2人にとっては気になるところだ。
奈良 テレビやラジオ、公演でのMCもそうなんですけど、短い時間で話すのが難しくて。どうしても焦ってしまって、言いたいことを言えなかったり、本題じゃないところをいっぱい話してしまったりします。
夏野 もったいないよね。本題はこれからなのに、「はい、次の人」とか。だから、大事なのは本当に伝えたいことを一言で言うこと。
たとえば、日本の若者が「イスラム国」に参加しようとした、というニュースにコメントするとします。僕の専門分野でいうと、これは「無敵の人」の問題なんです。ネット用語の「無敵の人」というのは、仕事もない、家族も縁遠い、恋人もいない、人生に夢も希望もない……といった、失うものがない人のことです。たぶん、ネット用語に詳しくない人は知らない言葉。だからこそ、絶対に紹介したい。
でも、「まず、『無敵の人』というのはネット上のスラングでして……」なんて説明する時間はない。だからその場で考えて短く言います。
「ネット上で『無敵の人』って言葉があるんです。無敵になっちゃうくらい失うものがない人。こういう人を生み出してしまうと、『イスラム国』に参加する若者も増えてしまう。だから社会のあり方を考え直さなくてはいけないんです」。以上、25秒。
太野 すごい! それは練習したらできるものですか?
夏野 練習じゃなくて、慣れじゃないかな。あとは、やっぱり自分の得意分野での話だから短くしたり長くしたりできる。まずは得意分野にひきつけて話せばいい。「あの子はいつもバレエにたとえるな」「剣道の話ばかりするあの子」と思われてもいいじゃないですか。
奈良 やっぱり、好きなことだからこそ、すらすら出てくるんですね。
夏野 得意分野の話でうまくいくようになると、話し方のパターンがわかってきますから、他のことにも応用できるようになります。
奈良 コンサートのように沢山の人を相手にするときと、個人で話すときの話し方はどう変えたらいいですか?
夏野 沢山の人を相手にするときは、観客の一人の立場から自分を観るのがいい。あの舞台の上で喋ってる私を客席から見るイメージをして、話していることが伝わってくるかな?と考える。
1対1なら相手の表情をみながら「いま頷いた」とか「腑に落ちない顔をしてる」といった反応に基づいて話し方を変えていけるでしょ。わかっていないようだったら詳しく説明していくとか。でも、大人数が相手だとそれができない。だから、自分が観客の立場でわかる言葉をしゃべっているかな、とトラッキングするのがいいです。
奈良 客観的に見るということですか?
夏野 うん。もう一人の自分があっち(客席)にいると思えばいい。後からVTRを観て、観客の立場、客観的に反省するのでもいい。
意外にステージから客席って見えるでしょう。
奈良 見えます!
夏野 あくびしてる人なんかいると、すごくがっかりしない?
奈良 わかります(笑)
夏野 秋葉原の劇場には行ったことがあって、AKB48Gの劇場の客席の近さもわかりますよ。僕はAKB48ができたときの一番最初のスポンサーなんです。
太野 えっ!?
夏野 NTTドコモのテレビ電話のキャンペーンで。
奈良 それって、テレビ電話で2期生のオーディションをしたときですよね?
夏野 そうそう。あれは秋元さんに頼まれて。劇場に行きましたよ、「あきもっちゃん」と一緒に(笑)。コージーコーナーのジャンボシュークリームを48個、差し入れに買って持っていったの。
太野 すごいですね。そんなご縁が……。
更新:11月24日 00:05