2016年10月22日 公開
2023年05月16日 更新
AKB48の新たな姉妹グループとして、1月に劇場デビューしたNGT48。新潟から全国へ、そして世界へと羽ばたくためには、ダンスと歌以外にも学ぶべきことはたくさんある。
48グループの未来を担う若きメンバーたちが、異分野のプロ、エキスパートに教えを請うこの連載。最終回のテーマは、テレビ番組のトークからSNSでの投稿まであらゆる場面で必要になる「発信力」だ。iモードで情報通信の革命を起こし、大学教授やコメンテーターとしても活躍する夏野剛氏に、「発信する」技術の真髄をうかがった。<取材・構成=鈴木初日、写真撮影=永井浩>
300名を超えるメンバーを擁するAKB48グループ。人数が多いだけに、一人ひとりに与えられるアピールのチャンスは限られている。その中でいかに有効な情報発信をしていくか。太野さんと奈良さんは、日頃どんなことを心がけているのだろう。
太野 私は兵庫出身なので関西弁なんですけど、SNSやメールでは標準語を使います。人前で話すときは「関西弁がいいね」とファンの方に言われることがあるので、関西弁で。書く時と話すときで使い分けています。
夏野 どうして使い分けるんですか?
太野 やっぱり関西弁って、書き言葉だときつく感じることもあるみたいなんですよ、ファンの方からしたら。
夏野 文字にすると誤解される?
太野 そうなんですよ。話しているのを聞いたら声のトーンとかで伝わることでも、字に書いたらわからないこともあるじゃないですか。字だけだと、関西弁だとわかりにくいかなというところは標準語を使ってます。
夏野 でも、ちょっとは出ることもあったり?
太野 あります。
夏野 関西人同士がメールを書く時はどうなんですか?
太野 それはもうバリバリの関西弁です。「~やねん」とか。
夏野 じゃあ、それでSNSでも発信してしまっていいのかもしれませんね。
奈良 私はあまりしゃべるのが得意ではないんですけど、劇場公演では会話に入れる隙間があったら入るようにしたり……あとは、メール(※編集部注:登録したメンバーからメールが届くモバイル向けサービス、「NGT48mail」のこと。同様のサービスは他のグループにもある)はファンの方と一対一でやりとりしている感じの空間なので、距離感を作らないように気をつけています。
夏野 奈良さんは青森出身ですね。津軽弁もいいんじゃない?
奈良 何を言ってるかわからないと言われてしまうので……。握手会などで、ファンの方も津軽弁の方だったりしたら盛り上がるんですけど。
ファンの気持ちになって、喜んでもらえるように情報を発信する努力は基本。その基本を踏まえた上で、「つかみ」となる得意技が必要だと夏野氏は言う。
夏野 短い時間で、あるいは一瞬で、人の気持ちを動かすには、「つかみ」が大事だと思うんですよ。たとえば、僕でいうと、この2週間くらいの得意技は「僕は学歴詐称していません」。
太野・奈良 (笑)
夏野 テレビで話すときでも、人と会うときでも、この一言だけで笑いが起きる。ヤフーのトピックスを見ながら「今日のつかみになりそうなニュースは?」という目で探していくと必ずネタは見つかります。できれば「今週のつかみの一言」、もう少し長く使える「今月の一言」、さらに「今年の一言」まで用意しておく。テレビなどで話す場合にもリラックスできて、ぐっと楽になりますよ。
太野 なるほど。
夏野 何も話すことがないときや、握手会で相手が黙っているときにも役に立ちます。
太野 あらかじめ決めておけばいいんですね。
夏野 AKB48グループは人数が多いから、舞台上で挨拶する機会があっても本当に一言でしょう。
太野 そうなんです。
夏野 だから、どうせそのための「一言」は用意しておく必要がある。そこで、一つだけではなくて「ずっと使える一言」「今週の一言」「今月の一言」と三つくらい持っておくといろんな場面でぐっとつかめる。特に、ずっと使える印象的な一言を用意しておくといいですね。「○○の話をしていた人だな」「いつも○○の話をする子だな」と憶えてもらえるわけです。
これは、スポーツ選手の得意技と同じです。たとえば柔道の選手で、一本背負いが得意技だとする。一本背負いに持ち込めたときには当然勝てる。相手が一本背負いを警戒しているからこそ他の技を決めやすくなることもある。同じように、コミュニケーションにおいても得意技を準備しておきましょうということです。
更新:11月22日 00:05