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「5秒で直せないアドバイス」はNG? 嫌味にならない指摘のマナー

吉井奈々(一般社団法人JCMA代表理事・コミュニケーション講師)

「感じのいいひと~」

スマホの置き方、あいづちの打ち方、気まずいときの振る舞い。同じ時間を過ごしていても、「感じのいい人」は細かな気遣いで相手に安心感を与えている。誰でも今日から実践できる習慣を紹介する。

※本稿は、吉井奈々 著『なぜか、また会いたくなる 感じのいい人の心がけ帳』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

5秒で直せないアドバイスはしない

「ネクタイが曲がってるよ」「靴紐がほどけてるよ」

5秒で直せることへの指摘は、相手を助ける「親切」です。

一方で、性格や体型などすぐには変えられないことへのアドバイスは、相手を追い詰めてしまうことがあります。たとえ正しくても、今すぐどうにかできないことを言われるのは、ただつらいだけです。

感じのいい人は、正しさよりも「相手の心」を大切にします。伝えることで傷つけてしまうなら、それは親切とは言えないからです。変えられないことにはあえて触れない。それも立派な思いやりです。

 

失敗談で安心を渡す

ミスをしたとき、人が一番欲しいのは正論よりも「自分だけじゃない」という安心感です。そうした場面では、自分の失敗談を先に差し出す。それは、相手と同じ目線に立つというやさしさです。

責められる不安ではなく、わかってもらえる安心が、前向きな気持ちを引き出します。失敗の場面こそ、安心を渡せるチャンスなのです。

 

スマホの「置き方」を意識する

会話中、スマホの画面を上に向けて置いていませんか?通知のたびに光る画面は、言葉にしなくても相手の意識をそらしてしまいます。画面を伏せる、またはバッグにしまう。そのひと手間だけで、相手に「今はあなたとの時間を大切にしています」という気持ちが伝わります。

物の置き方には、意識の向きがあらわれるのです。

 

リアクションで安心感をつくる

話し上手じゃなくても、感じのいい人の「聞き方」にはあたたかな体温が宿っています。笑いたいときにはちゃんと笑う。驚いたときには目を大きく開く。

相手の言葉にうなずき、表情豊かに応える。

それは「あなたの言葉を大切に受け取っていますよ」という心のギフト。豊かなリアクションが安心感を生み、相手の言葉をさらに引き出します。

「聞き上手」とは、相手が「この人と話せてよかった」と感じる、あたたかな時間をプレゼントできる人のことです。

そこで意識したいのが、「あいうえお」のリアクション。

・「あ」 ああ!という驚きや納得
・「い」 いいですね!の笑顔
・「う」 深くうなずく
・「え」 えぇ!?という関心
・「お」 おぉ!という感嘆

特にオンライン上では反応が見えにくいからこそ、少しオーバーなくらいの反応やうなずきが場を支えます。雑談や相談でも、話の腰を折らずに「うんうん、それで?」とあたたかいあいづちを打つ。その姿勢から生まれる安心感こそが、信頼の正体です。

あなたの豊かな反応が、誰かの「話したい」という気持ちに、そっと火を灯します。

 

気まずいときこそいつも通りにする

喧嘩や言い合いをした後。相手が謝るのを待つのではなく、あえて「いつも通り」の自分で接する。それは負けを認めることではなく、「この関係を大切にしたい」というサインです。

無理に話し合いで解決しようとせず、お茶を淹れたり、何気ないあいさつを交わしたりする。そんな変わらない日常のリズムが、固くなった相手の心を少しずつゆるめていきます。

わざわざ言葉にしなくても、気づけばいつもの空気に戻っていることもある。そんな、気まずさを引きずらない強さが、関係をそっと守っていきます。

プロフィール

吉井奈々(よしい・なな)

一般社団法人JCMA代表理事、コミュニケーション講師

企業や教育機関でコミュニケーション講師として活躍。15年間にわたって約7万人に「心を大事にするコミュニケーション」を伝えている。40歳から改めて大学に進学し、心理と教育を専攻。その後進んだ大学院では社会学を専攻し、仏教学や哲学についても研鑽を積む。
出生時に割りあてられた性別は男性だったが、性別適合手術を受けて戸籍を女性に変更し、現在は男性と結婚。アメリカに渡り、心理療法の権威リチャード・バンドラー博士から直接教えを請い、心のしくみを“言葉”で紐解く癒やしと変容の技術を修得。現在はメンタルケアとコミュニケーションの専門家として、全国で講演・企業研修・指導を行なっている。
日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エム、ANAなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当。また、東京大学や早稲田大学をはじめとする多くの大学で講師を務め、全国200校以上の中学校や高校でも、生徒向けの講演、教員向けの研修、PTA向けの講演を行なっている。NHK・Eテレの教育番組や日本テレビ系列の人生相談番組で、3年間レギュラー出演するなど、メディア出演も多い。

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