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たった15分の相談が成功率を変える 上司が知るべき5つの「任せる技術」

西原亮([株]明治クッカー 代表取締役)

たった15分の相談が成功率を変える 上司が知るべき5つの「任せる技術」

「任せたほうがいい」と分かっていても、つい口を出してしまう――。そんなリーダーに必要な「任せる技術」を解説してもらった。

※本稿は、西原亮 著『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』(ダイヤモンド社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

5つの「任せる技術」を使う

「任せるより、自分でやった方が早い」
「任せたのに、結局クオリティが低くて私が巻き取ってしまった」

初めて部下を持ったとき、誰もがこの壁にぶつかります。

私自身、コンサルタント時代も、家業を継いだ当初も、「任せる」と言いながら、部下のやり方が気になって口を出し、最後には「もういい、貸して!」と仕事を奪い取ってしまった経験がたくさんあります。

その結果、部下は「どうせまた仕事を奪われる」「言われた通りにやればいいや」と思考停止になり、私はいつまでもプレイヤー業務から抜け出せませんでした。

まさに「負のループ」にはまってしまったのです。

なぜ、多くの上司は部下に仕事を任せられないのでしょうか?

部下の能力不足?いいえ、違います。

上司である私たちが、「任せる技術(設計図)」を持っていないからです。そこで、部下に仕事を任せ、チームを回すために不可欠な「5つの技術」をお伝えします。

 

1:「範囲」を限定する

「お客様窓口のクレーム対応、任せたよ」

これは任せているのではなく、「丸投げ」です。任せる仕事の範囲があいまいになると、部下は独自の判断で動きます。それが上司の想定とズレるので「なんでそんな対応をしたんだ!」と感じてしまうのです。

任せるときは、「部下が決めていい範囲」と「相談すべき範囲」を明確に線引きしなければなりません。

×あいまいな任せ方:「クレーム対応は任せる」
○範囲を限定する:「配送ミスや遅延に関するお詫びは、君の判断で進めていい。ただし、『金銭的な補償』や『商品品質』に関わるクレームが来たら、自分で判断せずに必ず私に相談してくれ」

こうすることで、部下は「ここまでは自分でやっていいんだ」と安心してアクセルを踏むことができます。

 

2:成果が出るまでの「期間」を長く設定する

新しい業務を任せるとき、上司はつい「最短期間」での成果を求めてしまいます。

例えば、「SNSでの集客を任せる。3ヶ月でフォロワー1万人を目指してくれ」といった具合です。

しかし、部下に短期的な成果を求めると、すぐに上司には焦りが生まれ、少しでも数字が悪いと「やっぱり任せられない」と介入する原因になります。

育成とは、時間を投資することです。

「最初の半年は試行錯誤の期間でいい。数字は出なくていいから、勝ちパターンを見つけてくれ」と、「待てる期間」を提示してください。期間に余裕があれば、上司も「失敗も経験のうち」と腹をくくることができ、部下の仕事を奪う頻度が激減します。

 

3:「困りごと解決」の時間を定例化する

任せた仕事に関しては、「強制的な相談タイム(1on1)」をスケジュールに組み込んでください。上司の「何かあったら言って」は機能しません。部下は「こんなことで上司に時間を取らせていいのか」と遠慮するからです。

例えば、「毎週金曜の13時から15分間」。この時間は、進捗報告ではなく、「困りごとの相談」だけに使います。さらに、事前に「今週の判断に迷ったこと」「解決したい悩み」を1行でもいいのでドキュメントに書いてもらいます。

「相談のアポを取る」というハードルをなくし、定期的に軌道修正を行うことで、大きな事故を防ぎながら部下に任せ続けることができます。

 

4:部下の仕事の「価値」を言語化して伝える

部下が仕事を任されるのを怖がるのは、自分の仕事の価値を「成功か失敗か」だけで捉えているからです。

しかし、上司であるあなたが真っ先に伝えるべき、部下の仕事の最大の価値は別にあります。

それは、「上司の時間を空けること」です。

多くの上司はこの事実を言語化していません。そのため部下は「自分が成果を出さなきゃ」とプレッシャーに潰されそうになります。

そうならないためにも、部下にはこう伝えてください。

「この仕事を任せる一番の目的は、私の時間を空けて、私が未来の仕事(重要案件)に取り組めるようにすることだ。だから、たとえ完璧な成果じゃなくても、君が動いてくれているだけで、私にとってはすでに価値があるんだよ」

このように部下の仕事の価値を言語化するだけで、部下のプレッシャーは「貢献感」に変わります。

「自分でやった方が早い」と仕事を巻き取るのは、部下が提供しようとしている「時間の価値」を否定する行為です。まずは彼らがつくり出してくれた時間に感謝し、その価値を言葉にして伝えてあげてください。

 

5:「完了」の味を覚えさせる

任せる技術として最も重要なのは、部下に「最後までやり切った(完了した)」という経験を積ませることです。

どんなに小さなタスクでも、自分の責任でゴールテープを切らせる。その積み重ねだけが、次の大きな
仕事を任せられる自信をつくります。

もし部下が溺れそうになっていたら、仕事を小さな範囲に分解して渡し、自力で泳ぎ切らせてください
(下図)。

仕事を「奪う」のではなく「分解」する。それが、部下を潰さずに仕事を任せる上司の行動です。

まずは部下に「やりきること」を体験させる

プロフィール

西原亮(にしはら・りょう)

㈱明治クッカー 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、アメリカ・ニューヨークに拠点を置く投資ファンドと大手総合商社の合弁にて設立された経営コンサルティング会社に入社。主に全社組織改革、新規事業立案、新興国への海外事業展開戦略などのプロジェクトに参加。担当企業はグローバル大手印刷機器会社、イスラエル大手製薬会社、国内大手通信会社など多数。同社で5年の勤務を経て30歳を迎えた2013年、父親の跡を継ぐために明治クッカーに参画、同年8月より代表取締役に就任。2019年より「にっしー社長」としてYouTube、およびTikTokにてビジネススキルの情報発信を開始。

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