2026年07月03日 公開

※本稿は、三木佳世子著『口下手でも選ばれる人がやっていること』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から一部抜粋・編集したものです。
なぜあの人と話すと気持ちよく話せるのか。その秘密は「
続いて磨いていきたいのが、リアクションとジェスチャーです。
私は、リアクションは相手への愛の表現だと思っています。聞く姿勢だけで、相手の信頼や好感を得ることができますし、大勢いる中でも印象に残ることができます。口下手さんほど、リアクションを磨くことでコミュニケーションの変化を実感できるでしょう。
バラエティ番組を見ているとき、画面の端にある「ワイプ」(VTR〔メインで流す録画映像〕を見ているスタジオの様子を小窓で表示したもの)にタレントやアナウンサーが映ることがありますよね。内容だけを届けるのであれば、リアクションはいらないはずです。なぜワイプでリアクションを見せるのか、考えたことはありますか?
実は、あのワイプの有無で、VTRの見え方が大きく変わります。リアクションは、その場の空気を盛り上げる重要な要素。出演者がVTRに素直な反応を見せたり、ツッコミを入れたりする様子をワイプで抜くことで、視聴者は共感し、より面白さを感じることができるのです。リアクションが上手なことを「ワイプ芸」なんていうこともあるほどです。
そして、もう一つがジェスチャーです。
ジェスチャーが苦手な日本人は多いですよね。一方、海外に行くと当たり前のように胸の前で大きく手を動かしながら話す人が目につきます。
たとえばイタリアには「手振り文化」があると言われています。識別されるジェスチャーの数は、なんと250以上!地方ごとに違う言語の壁を超えるために必要に迫られて生み出されたそうです。
そこまでではなくても、ジェスチャーは話の内容を補完したり、より正確に、心に届くように伝えたりするためにとても有効です。言葉だけでなく、身振り手振りを含めて伝えるという意識を持っていきましょう!
リアクションで一番簡単にできるのは、うなずき。相手の話が一段落するタイミングで首を一回、縦に振るようにしてください。
それができるようになったら、うなずきのバリエーションを増やします。
ふぅん(激弱)、へぇ〜(弱)、うん(中)、うんうん!(強)、ええっ!?(激強)と、強弱をつけてみましょう。
私がいつもやっているのは、「お餅つき」のうなずきです。
話し手は杵を持って、「よいしょ、よいしょ」と会話という餅をつき、聞き手である私は好きなところで水をつけて餅を丸めるイメージです。そうすることで、一緒にリズム良く会話を作り上げていけます。
たとえば、相手がノリノリで話しているときには、息を吸い込みながら少し顔を引き、体も反らし気味に。話が途切れたところで息を吐きながら「へぇ〜」と前のめりになり、「うんうん、それで?」とあいづちを打ちます。すると、話がよりスムーズに進むようになるのです。
リアクションを取らないのは、相手だけに餅をつかせているような状態。餅が杵にどんどん張りついて、そのうち餅をつけなくなってしまうように、会話も尻すぼみになります。
話を聞くときは、餅つきをイメージしながら、あいづちを「声+動作」(例:「へぇ!」+うなずき)で同時に出す練習もしてみてください。より自然なリアクションになりますよ。
ジェスチャーの中でも簡単なのが、数字を指で示すこと。
「3つ、ポイントがあります」と説明するときに、指を3本立てて話すだけでグッと伝わりやすくなります。
このときに、片手だけを使うのではなく、反対の手にも出番を作ってあげると、さらにGOOD。左手で3を作りながら、右手でその中の1本を指さして「1つ目が特に重要で...」と言うだけで、より話が頭に入ってくるようになります。
相手に届けるイメージで、手のひらを見せて説明するのも効果的。物事のつながりや位置関係を伝える際は、両手をどんどん使って伝えると、聞き手の集中が途切れなくなります。
緊張するとどうしても、体の側面に手をピタッとつけてしまったり、膝の上に手をそろえたまま話してしまったりしがちですが、手は豊かな表現を叶える大事な体の部位です。
ぜひ両腕をやわらかに、自由に動かせるように練習してみてください。
プレゼンや面接の前には、手の緊張を取るために、あえて猫背になってオランウータンのように、体の前で腕をぶらんぶらんと5往復くらい揺らしてみるのもおすすめ。それだけで腕の緊張がほぐれて、自由に動きやすくなります。
リアクションをするとき、眉や目といった顔の上半分を、もっと動かせるようになりましょう。
無表情なまま「わっ驚いた」と言っても、全く驚いているように見えませんよね。眉を上げて、目を見開いて「ええっ⁉」と言うだけで驚いたということが伝わります。
それでは実践です。どのくらい眉と目を動かしたら驚いた顔に見えるのか、鏡の前で試してみてください。「この表情で驚きが伝わる!」と思ったら、マスクをして強制的に口元を隠して、きちんと驚きが伝わるかを検証します。
「驚き」ができたら、眉と目の動きだけで他の感情も表現してみましょう。
「蔑み」「悲しみ」「怒り」「好意」「熱意」「喜び」など、眉と目だけでさまざまな気持ちを表現できるようになるといいですね。
鏡の前で練習が積めたら、家族や友人に協力を依頼します。「表情だけでどんな感情を表しているのか?」を当てるゲームがオススメです。
やり方はとても簡単!何も言わずに眉と目だけで感情を表現→相手が回答→正解を言う。それだけですが、結構盛り上がります。
感情を伝えるリアクションを表情で表現できるようになってきたら、続いては、それをよりスムーズに、会話の中で必要に応じて出せるようになるトレーニングに移ります。話し手の感情に合わせて、同調しながらリアクションを連続的に取れるようになりましょう。
相手が怒っていたら、一緒に厳しい表情を。相手が楽しんでいたら、一緒に楽しい表情を。相手の感情に合わせて百面相をすることで、相手も安心して話を続けてくれるようになります。
トレーニングでは、日々の会話の中で相手の感情を感じ取りながら、リアクションで鏡のように表現していきます。
これは「ミラーリング」というNLPなどのコミュニケーション理論でも紹介される方法ですが、難しく考える必要はありません。表情だけでなく、相手のしぐさや手の動き、体の向き、うなずきのリズムなどを鏡のようにさりげなく、少しずつそろえていくと、会話の空気が自然に調和していきます。
最初から人との会話でやるのは恥ずかしいという方は、ドラマや映画を見ながら、登場人物の心境に合わせて百面相をするのでOK!
はじめのうちはぎこちなくても、脊髄反射のように目の前の人の〝心〞に合わせてリアクションを取ることができるようになっていきます。人は、自分と動きやテンポが似ている相手に、無意識に安心感を抱くのです。
手を叩く、膝を打つ、体をゆすって笑う、天井を仰ぎ見る、お腹を抱えて笑う、頭を抱える、眉間・おでこに手をやるーそんな全身を使って反応する「大きなリアクション」もできるようになりましょう。
大きなリアクションばかり連発していると、わざとらしいと受け取られてしまうこともありますが、ここぞ!と話が盛り上がっているところでビッグリアクションを挟み込むと、場が一気に盛り上がります。
ただし、悲しい話のときには、あえて繊細なリアクションをしましょう。眉を少し下げる・目を細めるなどのリアクションで〝共感〞を表現できると、相手が心を開いてくれるようになります。
慣れるまではちょっと恥ずかしく感じるかもしれませんが、一度体を使ってやってみてください。何度かやってみると、体が覚えて、実際のコミュニケーションの場面でも動かすことができるようになります。
更新:07月03日 00:05