
同じ1時間でも長く感じる日と短く感じる日があるだろう。
※本稿は、堀田秀吾著『ハーバード、スタンフォード、科学的に証明された時間をムダにしない人の習慣』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「最近、一日があっという間に終わってしまう」。
そう感じるのは、やることが多くて忙しいから...ではないかもしれません。実はあなたの感情が、時間の感じ方に影響を与えている可能性があるのです。
中国人民大学のリウらは、感情が時間の知覚にどのような影響を与えるかを研究しました。
老若男女の参加者に対して、喜び、悲しみ、怒り、中立などの顔の表情を見せ、時間の感じ方がどう変わるかを調べたのです。
その結果、年齢を重ねた人は幸福な感情を長く感じやすく、若者は否定的な感情を長く感じやすいことがわかりました。
つまり、感情と時間知覚には関係があり、「時間を長く感じさせる感情」は年齢によって変化するのです。
友だちと遊んだりゲームをしたり、楽しい時間はあっという間に過ぎるのに、授業時間やお説教されている時間はいつまでも終わらない。
子どものころ、嫌な時間ほど長く感じたという人は少なくないでしょう。
しかし大人になると、嫌な時間よりも幸せな時間のほうが長く感じられるようになります。
これは、年齢とともにポジティブな感情を優先して処理する傾向が強まる「ポジティビティ・エフェクト」が働いているためです。
気分が高揚すると、心拍や神経活動の増加が、時間の長さを誤って感じさせることが、「内部クロックモデル」と呼ばれる理論によって証明されています。
楽しいときや嬉しいときに時間を短く感じることや、怒ったときや不安なときに時間を長く感じることもありますが、多くの場合、年齢を重ねるほど、ポジティビティ・エフェクトによって、快適で充実した気持ちのときに時間を長く感じるようになります。
あなたの時間の流れを速めていたのは、忙しさではなく、焦りや苛立ちなどの感情だったのかもしれません。
時間の流れをゆっくりにすることは、誰にでも簡単にできます。その具体的な方法をいくつかご紹介しましょう。
朝の支度中に好きな音楽を流す、趣味を楽しむ時間を増やす――。スタンフォード大学のジンバルドーは、「今、この瞬間」の楽しいことや気持ち良さを大事にする感覚をほどよく持っていると、その瞬間の体験をじっくり味わうことができ、人生がもっと楽しく感じられると言っています。
寝る前に「今日よかったこと」を3つ書く、感謝の気持ちをメモする――。そうした小さな習慣により、「ポジティブな瞬間」が見える化され、感情が安定し、時間の流れが落ち着きます。
明るい光、やわらかな音、好きな香りなど、五感を通して快の刺激を得ると、脳は「安全で充実した時間を過ごしている」と感じます。忙しいときほど、心地良いと感じられるものを意図的に増やしましょう。
同じ作業でも、「やらされている」のではなく「自分が選んでやっている」と意識すると、「時間の主導権を自分が握っている」と感じられます。この「自己決定感」こそ、時間を豊かに感じる最強のスイッチです。
同じ時間であっても、解釈の違いだけで感情が大きく変わることは、ミシガン大学のロドリゲスとオハイオ州立大学のキャンベルによっても示されています。
30分間一人で過ごす前に、一人でいることを「自分時間(me-time)」と表現されていた実験参加者は、「孤立(isolation)」という単語などで表現されていた参加者よりもポジティブ感情が増加していました。
日常の行動に小さな工夫を加えることによっても、時間の感じ方を変えることができます。次の2つの習慣で、「時間の豊かさ」を取り戻しましょう。
通勤ルートを変える、初めての店へ行ってみる――。そんな小さな変化だけでも、脳に新しい刺激が加わり、一日が「長く」「濃く」感じられるようになります。新奇な体験をすると、脳がより詳細な記憶を形成するため、感じる時間の長さが拡大します。逆に、退屈で単調な日々は記憶に残りにくく、あっという間に過ぎ去ったように感じられてしまうのです。
「今、この瞬間」に意図的に注意を向け、評価や判断をせずに観察する。それにより脳の活動が変化し、時間の流れがゆったりと感じられるようになることが、研究によりわかっています。過去や未来のことを考えすぎず、まずは1分間だけでも、今、自分がしていること、目の前にあることに集中してみましょう。心のリズムが整い、時間が豊かになる感覚が得られるはずです。
更新:06月16日 00:05