
日々の生活のなかで、「こんな時、どうするべきなのか?」「どうすればもっと良い結果が得られるのか?」と考えることは多いだろう。そんな時、一つの指針になるかもしれないのが、心理学だ。今月から始まる本連載では、200冊以上の著作を持つ心理学者の内藤誼人氏に、ビジネスや人間関係に役立つ知見を語っていただく。
4月は出会いの季節。新人社員も入ってきますし、部署異動によって、新しい人間関係を作らなければならない機会も増えます。新しいクライアントとお付き合いしなければならない人もいるでしょうね。
さて4月になると、お互いにまったく面識のない人との出会いが増えるわけですが、そこで重要になってくるのは、いかに自分の第一印象を良くするのか、という問題です。
好ましい印象を持ってもらえれば、その後のお付き合いもずいぶんとラクになりますが、最悪の印象を与えると、その後の関係がギクシャクしてしまい、あっという間に縁が切れてしまうこともありますので細心の注意が必要です。
言うまでもなく、初対面の出会いは1回だけ。ゲームであれば簡単にリセット(やり直し)ができますが、現実の世界では「うまく自己アピールできなかったから、もう1回!」というわけにはいきません。チャンスは1回だけ。そこで好ましい印象を相手に持ってもらえないと、その後もずっと悪い印象を持たれたまま。これは怖いですね。
ノースウェスタン大学のバーナデット・パーク博士は、1週間に2回行われるセミナーを7週間に渡って開催する、という実験を行いました。実験の参加者に毎回、顔を合わせるメンバーについての印象を尋ねるというものです。
その結果を見ると、初回の印象(つまり第一印象)は、その後もずっと変わらず、7週間に渡って維持されることがわかりました。つまり、最初に「イヤな奴だな」と思われると、その後もずっと「イヤな奴」と思われ続けてしまい、挽回できなくなってしまうのです。
第一印象は7週間どころか、もっと長く維持されることを示す研究もあります。
ミネソタ大学のマイケル・サンナフランクは、164名の大学生を対象に、同性同士のペアを作らせておしゃべりしてもらうという実験をしました。この実験は9週間に渡って続けられたのですが、第一印象は9週間後にも変わらないことが明らかにされたのです。
これらの実験結果から、その後の関係における第一印象の重要性がはっきりとわかるはずです。
ですが私は、この「第一印象の重要性」がまだまだ世の中に広まらず、軽んじられていると感じます。
新しい職場やコミュニティでの初日を迎える前に、どういう自己紹介をすれば最高の自分を演出できるのかということを本気で考え、あらかじめ入念に準備している人がどれだけいるでしょうか。おそらく、圧倒的多数の人は、「まぁ、何とかなるだろう」とお気楽に考えているのではないかと思われます。
私たちの印象というものは、その後もずっと保持される傾向があるわけですから、できるだけ好ましい印象を与えるように、初回から全力で自己アピールするのが正解です。
では、どうすれば好ましい第一印象を与えることができるのでしょうか。
そのためには、次の3つの心構えがポイントです。一つずつ解説していきます。
もちろん個人差はありますが、私たちは概ね、明るく、陽気で太陽のような人を好みます。陰鬱で、暗い雰囲気を漂わせている人に好印象を持つことは少ないでしょう。
であるならば、新しい人と出会うときには、なるべく自分のテンションを上げ、元気いっぱいなイメージを演出するのが得策です。いつもより少し大きな声を出して、エネルギーに溢れた人間に見える努力をしましょう。
笑顔も大切です。普段は仏頂面でもかまいませんが、人に会っているときくらいは常に笑顔を絶やさず、気持ちのいい人物のイメージを相手に持ってもらえるようにしなければなりません。上機嫌で、愛想のいい人間のフリをしましょう。
さらには、相手に親しみを感じてもらえるような自分のエピソードもあらかじめ準備しておきましょう。自分のドジな話や失敗談がよいのではないかと思われます。私たちは、完璧な人よりドジな人に対して自然と親近感を覚えます。
たとえどれだけ虫の居所が悪いとしても、初対面の人に会うときには不機嫌そうな顔をするのをやめて、とびっきり明るい人間のフリをしてください。最初に悪い印象を与えてしまうと、その後いくら好ましい振る舞いをしても、なかなか印象は変えてもらえませんからね。
更新:04月03日 00:05