
メンバーの世代や職種、国籍などが異なるチームでは、その違い故のすれ違いやトラブルが起こりかねない。しかし、うまく運用することができれば、多くのメリットを享受できる。堀田創、水野貴明両氏の著書『まとまらないチームのまとめ方』(翔泳社)より解説する。
※本稿は、堀田創、水野貴明著『まとまらないチームのまとめ方』(翔泳社)より内容を一部抜粋・編集したものです。
「自分の常識が相手には通じない」という現象は、なにも海外に限った話ではありません。
同じ日本人同士であっても、世代や職種、価値観などの違いから、思わぬすれ違いや誤解が生じることは日常的にあります。
「察する文化」で働いているときでさえ、相手の意図を読み違えて戸惑うことがあるのです。
それが文化や個性・価値観、世代が異なればなおさらです。ですから、日々の仕事の中で、当然こうするはずだ、という前提がまったく通じず、些細な誤解が大きな火種になってしまう場面は枚挙にいとまがありません。
世界中から才能ある人材を集めてプロジェクトを進めているはずなのに、誤解と衝突の連鎖でチームがストレスを抱え、期待していた成果が一向に出ないという状況は、現実に頻繁に起こりますし、それを目にしたことのある方も多いのではないかと思います。
しかし、それでも筆者は、そういった文化や個性・価値観が異なるメンバーで集まり、それでもちゃんとまとまったチームこそ、想像もつかないアイデアが生まれ、予想外の成果を手にすることができると痛感しています。
さて、ここで世の中のチームを単彩チームと多彩チームというふたつのタイプに分けて考えてみたいと思います(図)。
ひとつは、メンバーそれぞれが比較的似たような価値観や能力を獲得している状態、色でたとえるなら単色のチームです。本書では単彩チームとよびます。そのような人材を選別し採用して構成する場合もあれば、トップダウン的に上司から部下へ価値観を伝達して統率する場合があります。
オペレーションを正確に実行する必要のあるようなチームであったり、数の組織力で勝負するような営業チームであったりする場合には、単彩チームがうまく機能することが多くあります。
もうひとつは、文化や価値観、職能、世代などいろいろなタイプのメンバーが、それぞれの個性や強みを活かしつつも、同じ方向を見ている状態、色でたとえるなら多色のチームです。本書では多彩チームとよびます。
この「同じ方向」のことをコンテクスト(文脈)といいます。コンテクストがチーム内で合意され共有されているからこそ、一般的にはリーダーが担うことになる「調整役」がそれほど介在することなく自律した問題解決や合意形成ができる底力があります。

筆者は、多彩チームにならざるをえない環境でプロダクト開発やAIプロジェクトを続けたことで、日本国内にとどまっていては得られなかったチャンスや気づきを手にしました。
グローバル競争がますます激化していく時代、AI技術の急速な進化やリモートワークの普及とともに、年齢、性別、職種、所属している(していた)会社、そして文化や個性・価値観がさまざまなメンバーからなるプロジェクトが当たり前になるいまこそ、多彩チームがもつポテンシャルを最大限に引き出すことは企業の生き残りに直結する、といっても過言ではありません。
次回は、多彩チームのメリットとして次の5つを紹介しましょう。
・イノベーションの確率が上がる
・包容力のあるプロダクトがつくれる
・優秀な人材を探しやすくなる
・コンテクストの言語化が資産となる
・24時間365日を最適化できる
更新:04月12日 00:05