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誰でも身体が柔らかくなる「トップギアストレッチ」入門

2025年07月31日 公開

村山巧(柔軟美(R)トレーナー)

トップギアストレッチ

「なんだか最近身体が重い」「ちょっと運動するとあちこち痛くなって続かない」......それらはもしかしたら、"身体の硬さ"が原因かも?身体が硬いと、ちょっとした動作に痛みを感じたりして、動くのが億劫になりがち。運動や筋トレを楽しむためには、柔軟性が重要なのだ。人気柔軟トレーナーが伝授する、誰でも身体が柔らかくなる新メソッドとは?(取材・構成:石澤寧)

※本稿は、『THE21』2024年8月号より、内容を一部抜粋・再編集したものです。

 

短時間でも驚くような変化が感じられるメソッド

私たちの身体は、積極的に身体を動かして関節の可動域を広げない限り、だんだん動ける範囲が狭くなっていきます。動かせない部分の筋肉はだんだん弱っていきますから、結果的に身体本来の機能も弱まる悪循環に陥ってしまう──だから、身体の柔軟性が大事なのです。

「そうは言っても、身体の硬さは生まれつきの体質だから仕方がない」と思っていませんか。でも、諦める必要はありません。もともと身体が硬い人も、年齢を重ねて身体が硬くなってきた人も、ストレッチをすれば必ず身体が柔らかくなります。

実は、もともと私自身が「前屈しても床に届かない」ほど硬い身体の持ち主でした。それが、趣味で始めたアイススケートがきっかけで柔軟に目覚め、書物やセミナーで学びながら自分自身の身体を通じて研究を重ね、左下の写真のような身体の柔らかさを手に入れました。

今では、5歳から78歳まで、様々な年齢、性別、生活スタイルの方々に柔軟のレクチャーをしています。その私が断言するのですから間違いありません。あなたの身体も必ず柔らかくなります!

ここでお伝えしたいのが、私の長年の指導経験を体系化した「トップギアストレッチ」です。これは「筋膜アプローチ」「静的ストレッチ」「脳科学アプローチ」の3つから成るストレッチ法で、短時間で大きな効果を生むことを特徴にしています。

 

筋膜アプローチ

「筋膜」とは、筋肉と皮膚の間にあり、ボディースーツのように全身を覆っている膜のこと。座りっぱなしや姿勢が悪い状態が続くと、この筋膜が歪んでいきます。そうなると、あちこちが動かない、硬い鎧をまとっているようなもの。それをストレッチで正しい位置に戻すことで身体を柔らかくするのが、「筋膜アプローチ」です。

 

静的ストレッチ

「静的ストレッチ」は、筋膜アプローチのあとに10~20秒くらいかけて行なうストレッチです。目的の場所に力がかかっているのを感じながら、じっくり身体を伸ばしていきます。

 

脳科学アプローチ

そして「脳科学アプローチ」は、限界を突破するための方法です。筋肉を一度強く筋収縮させたあとに弛緩させることで、「もうこれ以上は伸びない」というブレーキを外すことができます。筋肉や関節が本来持っている可動域が覚醒し、短時間でも驚くような変化が感じられるようになります。

今回は、特にお悩みを抱えている方の多い、「肩」「背中と腰」「お尻」「太もも」に効果のある4つのストレッチをご紹介します。

 

首が張ったり肩が凝ったりする人に特にお勧め! 僧帽筋のストレッチ

僧帽筋

重たい頭を支える筋肉の一つが僧帽筋。成人の頭の重さは4~6キロ程度だが、首が前に傾くほど首にかかる負荷は大きくなり、15度傾くと12キロ、45度で22キロ、60度では27キロにもなる。特に長時間パソコンやスマホを見るなど、同じ姿勢が続くと僧帽筋が硬くなるため、ストレッチをすることですっきりとした感覚が得られる。

 

筋膜アプローチ

1. 仰向けに寝て、フォームローラーを後頭部に当てる。膝は立てても伸ばしてもOK
2. ローラーが動かないように、右を向く、左を向く、という動きを10回繰り返す

 

静的アプローチ

1. 手指全体を使って首の付け根付近を押さえる
2. 頭を反対側にゆっくりと倒す
3. 伸ばした手の手のひらを表、裏と返す動作を繰り返す

 

脳科学アプローチ

1. 手で頭の反対側を押さえ、引き寄せるように倒す
2. 手の力に逆らって頭を戻すように抵抗する
3. 手の力を抜かずに、頭の抵抗を止めて3秒間脱力する
1~3を3回繰り返す

頭を倒す際、反対側の肩が上がったり、上半身が傾いたりしないようにしましょう!

 

歩行にも影響するお尻の筋肉を柔らかく! 広背筋&腰方形筋のストレッチ

広背筋&腰方形筋

背中にV字型に広がる面積の広い筋肉が広背筋。腰方形筋は背中の内側で肋骨と骨盤をつなぐ役割を担っている。ともに左右に一対ずつあるため、バランスが崩れると姿勢の悪化や腰痛の原因になることも。

 

筋膜アプローチ

1. 膝を立てた状態でフォームローラーを背に当てて仰向けになる
2. 30秒間自分の体重で背中を刺激する。腰に不安がなければ、両腕を頭のほうに伸ばすとさらに深い刺激が得られる
3. 肩甲骨の下あたりから腰までローラーの位置を変えて行なう
4. 立てた膝を左右にパタンパタンと10回程度倒す

 

静的ストレッチ

1. 立った状態で片手を伸ばし、身体全体を横に倒す(バランスに不安がある場合は壁に手をついたり、椅子やテーブルを支えにしたりするなど、安全を確保する)
2. 両足を肩幅に開き、片手を腰に当て、反対の手を前方斜め上に、30秒間できるだけ伸ばす

 

脳科学アプローチ

1. 伸ばす手の手首を反対側の手でつかんで引っ張る
2. 引っ張る力に3秒間抵抗する。引っ張る際には、身体全体ではなく腰から上を傾けるようにする。
3. 引っ張るのはそのままで、抵抗を止めて脱力する。
1~3を3回繰り返す

 

姿勢の改善・腰痛の予防にも効果あり! 大殿筋のストレッチ

大殿筋

お尻のふくらみを作っている大殿筋は、一つの筋肉として最も大きな筋肉。 股関節の動きにも影響し、硬くなると腰痛の原因になる場合もある。

 

筋膜アプローチ

1. 片方のお尻にフォームローラーを当てて、手を後ろについて身体を支える(写真は右側を伸ばす場合)
2. 大きく前後に動いて、往復10回程度ローラーを動かす。座骨から腰の近くまで大きくローラーを動かすと効果的

 

静的ストレッチ

1.仰向けになり片方の足の膝の裏を両手で抱える
2. 両手を胸の方向に30秒間引き寄せる。大殿筋に力がかかっているのを意識して行なう

 

脳科学アプローチ

1. 仰向けの姿勢で、片方の足の膝裏を両手で引き寄せる
2. 両手の引き寄せる力に、お尻で押し返すように3秒間抵抗する
3. 両手の引き寄せる力はそのままで、お尻の力を3秒間脱力する。
1~3を3回繰り返す

股関節の可動域が広がるため、ランニングをやっている方などには特にお勧めです!

 

日常生活に影響の大きな筋肉をほぐす! 大腿四頭筋のストレッチ

大腿四頭筋

太ももの前側にあり、大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋を合わせた名称。人間の身体の中で最大の筋肉で、歩く、走るといった日常的生活のあらゆるシーンに関係している。

 

筋膜アプローチ

1. うつ伏せになり、太ももの前面にローラーを当てる
2. 膝頭を内側、外側と交互に向けて刺激を与える動作を10回繰り返す
3. ローラーの位置を変えて、膝のすぐ上から足の付け根付近まで、まんべんなく刺激する

 

静的ストレッチ

1. うつ伏せで、片方の足の甲を同じ側の手で持ち引き寄せる。ローラーを太ももの下に置くとより深く刺激が入る
2. その状態を30秒間キープする

 

脳科学アプローチ

1. 壁を背に片方の足のひざを立て、反対の足の甲を壁に当てる
2. 立てたひざの上に両手を当てて身体を支えながら、壁に当てた足の甲で3秒間グーッと壁を押し続ける
3. 壁を押す力を抜いて3秒間脱力。身体が下に落ちて太ももが伸ばされる。

1~3を3回繰り返す。身体を起こすのがつらい人は床に手をつく形でもOK、その場合は背中が丸まらないように注意する

大腿四頭筋が硬い人はローラーで刺激すると痛みを感じるので、我慢できなければローラーにタオルなどを巻いて刺激を和らげましょう!

 

「人生を変えたい人」にこそ ストレッチがお勧め

5つの心構え

「自分は身体が硬い」と思っている人ほど、ここでご紹介したストレッチに取り組むと、「えっ」と驚くほど身体を動かせる範囲が広がるのを実感できるはずです。もちろん、Y字バランスができるくらいになるまでにはそれなりの時間が必要ですが、ストレッチが歯磨きや入浴と同じくらい当たり前の習慣になれば、いつの間にかできるようになります。

「できない」と思っていたことができるようになると人生が変わります。何かに挑戦したい人、自分を変えたい人はぜひ、ストレッチに取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

【村山 巧(むらやま・たくみ)】
1984年生まれ。27歳のときに趣味で始めたアイススケートをきっかけに柔軟性の研究を重ね、脅威の柔らかさを手に入れる。2016年に柔軟美(R)トレーナーとして活動を開始。フットワークも柔軟に全国各地への出張レッスンに飛び回り、短時間で劇的な変化を導き出すことで参加者から絶大な支持を集めている。著書に『人生100年いきいき動ける大人のストレッチ』(徳間書店)、『即伸びキッズストレッチ』(大和書房)などがある。

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