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残業続きの人は“常に酩酊状態”かも...精神科医が説く、睡眠不足の悪しき影響

2023年06月05日 公開

樺沢紫苑(精神科医)

樺沢紫苑 睡眠

「メルマガ、毎日発行18年」「YouTube、毎日更新10年」と驚異的なアウトプットを継続している精神科医の樺沢紫苑氏。「日本一アウトプットする精神科医」として活躍する同氏に、時間と心の余裕を保ちながら、圧倒的なパフォーマンスを維持するコツをうかがった。(取材・構成:林加愛)

※本稿は、『THE21』2023年7月号特集「『時間がない!』から抜け出せない本当の理由」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

仕事が終わらないのは残業するから

時短効率化のツールは年々進化しているのに、相変わらず「時間がない」と感じている方は、きっと多いと思います。そこには「パーキンソンの法則」=仕事量は与えられた時間の分だけ膨張する、という現象が働いていると思われます。

仕事の期限が1週間延びたのに、結局直前までかかってしまった経験はありませんか? それは無意識のうちに、できた時間の分、作業を「希釈(薄める)」したせいです。特に会社勤めの方は、1日の労働時間を濃く働いても薄く働いても報酬が同じなので、希釈グセがつきがちです。

「いやいや、自分は毎日頑張っている!」「それでも時間が足りなくて、こんなに疲れている!」と思われたでしょうか。実はその考え方、順番が逆です。

長時間働かざるを得ないから疲れてしまうのではありません。疲れによってパフォーマンスが低下しているから、時間内に仕事が終わらないのです。

この状態は、いわば悪循環です。仕事が終わらないから、睡眠を削って仕事をし、さらに疲弊し、ますます仕事のスピードが落ち、時間がなくなるのです。

この悪循環を、反転させましょう。つまり、正しいセルフケアによって集中力を高め、仕事のスピードを上げるのです。現時点でお疲れの方ほど、伸びしろは大。2倍速、3倍速で仕事ができれば、所要時間は2分の1、3分の1に縮むでしょう。

 

睡眠時間が1時間減ると残業が2時間増える

その最も簡単で有効な方法は、睡眠時間を増やすことです。「睡眠を1時間削ると、2時間残業が増える」と心得て、睡眠不足の沼から脱出しましょう。

日本人の平均睡眠時間は、約7時間半。世界の平均より1時間短いのが現状。とりわけ働き盛りの40歳以下の年代は、6時間以下が50%を占めます。

6時間睡眠を2週間続けると、2晩徹夜したのと同レベルの認知能力になるそうです。これは、日本酒を一合飲んだのと同じ状態。つまり皆さんは、酩酊状態の脳で仕事をしているのです。日本の生産性が低いのも、おそらくはこのせいでしょう。

ですから、毎日最低でも7時間は眠りましょう。「眠りが浅くて、7時間も寝られない」という方も、横になるだけで体の疲れは取れますから、とにかく布団に入りましょう。

「それでも、やり残した仕事が気になって眠れない」という方もいるでしょう。しかしその気がかりは、集中力について正しい知識を得れば解消できます。

集中力は、朝に高く、夜に低くなります。朝一番のまっさらな脳と、1日働いて疲れた脳の性能が違うのは当然ですね。そう考えると、夜に頑張って仕事を続けるのは非効率。きちんと眠って脳を回復させ、翌朝一気に進めるほうが合理的です。

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「疲れたから休憩」は効果なし! >

著者紹介

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)

精神科医

1965年札幌生まれ。91年札幌医科大学医学部卒。2004年から米イリノイ大学に3年間留学。帰国後、東京にて樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通じたメンタル疾患の予防」をビジョンとし、累計フォロワー80万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報を発信。シリーズ累計90万部を突破した『学びを結果に変えるアウトプット大全』(サンクチュアリ出版)、近刊『マンガでわかる『神・時間術』』(KADOKAWA)など40冊以上、累計発行部数230万部超の著書がある。

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