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医師が食べている「ささみ」と「納豆」 シニアの体力を底上げする優秀食材

2026年07月24日 公開

吉原潔(整形外科専門医)

体力を底上げするには、食事の見直しが欠かせません。中でも重要なのが、体の土台を支えるたんぱく質です。しかし、高齢になるほど食が細くなり、必要量を十分にとれていないケースも少なくありません。では、無理なく効率よくたんぱく質を補うにはどうすればよいのでしょうか。本記事では、書籍『疲れない、回復できる、速く・長く歩ける 体力低下を食い止める30秒習慣』より、体力低下を防ぐ食事のポイントを解説します。

※本稿は、吉原潔著『疲れない、回復できる、速く・長く歩ける 体力低下を食い止める30秒習慣』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

体力の底上げは「食事」から

70代の母親が、『運動をしないでやせた。食事も減らしていない』と言って喜んでいるのですが、大丈夫でしょうか?」

知り合いの40代の女性から、こんな相談を受けました。この場合、まず2つの可能性が考えられます。

①運動をしていないので、筋肉量が減って体重も減った
②病気で体に異常をきたしている

①についてですが、加齢により、もともと毎年1%程度の筋肉が減るのですが、運動しないとそのスピードはさらに加速します。ですから、この場合の「体重が減った」は喜ばしいことではなく、むしろ逆。

特に、高齢の方の筋肉量が減ると、歩くのがおっくうになり、引きこもりがちになり、それによりさらに筋肉量が減る、という負のループに陥ってしまうので注意が必要です。

②に関しては、食欲減退や体調不良がないか確認してください。少しでも違和感があれば、医療機関で検査を受けることをおすすめします。がんなどのこともあるので、「私は大丈夫」という過信は危険です。

それから、高齢の方で意外に多いのが、「知らず知らずのうちに食事量が減っている」ということ。

年齢とともに食が細くなるので、本人は意識していなくても食べる量が減っていることはよくあります。その結果、必要な栄養素が十分にとれず、筋肉量が減ってしまうことが問題となります。

ダイエットをするとき、食事を抜くとよくないのは、ご存じの方も多いでしょう。

エネルギー不足だと体が判断すると、脂肪より先に筋肉を分解してエネルギーにしてしまうからです。食が細くなると、図らずも「食事抜きダイエット」をしているような状態になっているかもしれません。

高齢の方が「食事を減らしていない」と言っているときは、実際に量が減っていないか様子を確かめてみるとよいでしょう。

また、「食が細くなった」という自覚のある方も、筋肉を維持するのに必要な栄養素、特にたんぱく質が十分にとれていない可能性もあります。

食事や栄養は、筋肉量の維持という面だけでなく、「細胞」という根本的なレベルから見ても非常に重要です。

私たちの体を維持しているのは、37兆個の細胞です。正常な細胞は、古くなったら死んで、新しい細胞と入れ替わります。死んでいく細胞の数は毎日億単位ですが、それとほぼ同数の新しい細胞に入れ替わっています。この新しい細胞をつくるためには材料が必要であり、それが栄養素、つまり食事です。

ですから、普段の食事に問題があれば、いくら30秒習慣を実践したところで、思うように体力はついていきません。それどころか、栄養不足の状態で筋トレをすると、逆に筋肉が減ってしまうことさえあります。とにかく、細胞レベルで体力をつけるには、食事に気を遣う必要があるのです。

具体的には、五大栄養素、特にたんぱく質をしっかりとること。

五大栄養素とは、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル。当たり前のことですが、なかなかバランスよくとれていないのが現状です。そのなかでも特に、不足しがちな、たんぱく質を積極的にとるとよいでしょう。

 

たんぱく質を意識してとったほうがいい理由

「たんぱく質が大事なのは知っているんですけど、お肉って硬いし、量も食べなきゃでしょう? 食欲も昔みたいにないし、結局、うどんとか柔らかいもので簡単に済ませちゃうんですよ」

高齢の患者さんと接していると、よくこんなことを聞きます。

1日に最低限必要なたんぱく質の量は、体重1kgあたり約1gです。体重が60kgなら、60g程度のたんぱく質が必要ということになります。

ただ、これは「たんぱく質の量」です。肉や魚でとろうとすると、100gあたりに約20gのたんぱく質が含まれているので、脂肪を除いた量で300g。けっこうな量ですよね。

高齢の方では、たんぱく質不足が顕著に見られます。これは、食欲の低下、かむ力の衰え、消化· 吸収能力の低下などが影響しているためです。たんぱく質をしっかりとるには、ちょっとした"作戦"を立てる必要がありそうです。

作戦① 食べやすいメニューでたんぱく質の量を増やす
作戦② たんぱく質を効率よく吸収させる

この2点です。

それにしても、なぜ、こんなにたんぱく質にこだわるのか。それは、人間の体の約60%は水分ですが、残りの約
40%のうち、たんぱく質が半分近くを占めるからです。髪の毛、爪、皮膚、血液、内臓、筋肉など、体のあらゆる組織の材料になるのがたんぱく質です。

この材料が不足すると、新しい細胞をつくることができず、髪や爪が伸びにくくなるなど新陳代謝が滞り、体調の悪化につながります。また、たんぱく質は免疫細胞の材料にもなるため、免疫力も低下してしまいます。

もう1つ注意すべき点は、たんぱく質は、炭水化物や脂質とは異なり、貯蔵ができないのです。したがって、定期的に補充する必要があるのです。

ただし、腎臓の機能が低下している方は、たんぱく質の量に注意が必要です。適正量は医師と相談してください。

 

「ささみ」と「納豆」はたんぱく質の優等生

たんぱく質には、動物性と植物性があり、理想は1:1の割合でとることです。

動物性たんぱく質を含む食材=肉や魚、卵、牛乳· 乳製品
植物性たんぱく質を含む食材=大豆や大豆製品

ですが、堅苦しく考えず、「肉や魚、卵だけではなく、納豆や豆腐などの大豆製品を、3食のどこかで食べよう」くらいに思ってください。

それでは、動物性たんぱく質と、植物性たんぱく質をバランスよくとるために、私が実際に食べている「ささみめかぶ」(動物性たんぱく質)と「酢納豆」(植物性たんぱく質)をご紹介しましょう。「もう1品」として、食事に取り入れてみてください。

 

・ささみめかぶ

動物性たんぱく質を含む食品は脂質も多く、どうしてもカロリーが高くなりがちですが、ささみなら脂質が少ないので、その心配がありません。

一緒に和えるめかぶは、海藻特有の食物繊維、フコイダンを含みます。フコイダンは、細胞を活性化させ、風邪やインフルエンザなどに対する免疫力を高める効果があるとされます。パサつきがちのささみを、めかぶのネバネバが包んで食べやすいのもよい点。ささみはひと切れを小さくするか、スライスすると、さらに食感がよくなります。

 

・酢納豆

納豆は調理もお皿も必要なく、とにかく手軽でありながら、たんぱく質だけでなく、ビタミンや食物繊維も豊富な、栄養価にすぐれた発酵食品です。酢を加えると、ふわっと泡立ち糸引きが弱くなって、納豆特有のにおいも抑えられます。

また、納豆に酢を加えることで、大豆に含まれる鉄分や、カルシウムの吸収率を向上させたり、血糖値の上昇を穏やかにしたりする作用が期待されます。

 

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