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飲食店、フィットネスクラブ、薬局――様々な業界で進む「店舗のDX」

2021年04月06日 公開
2023年10月31日 更新

川野秀哉(タノム代表取締役)・蓮田健一(hacomono代表取締役)・中尾豊(カケハシ代表取締役社長)

フィットネスクラブの入会・予約・決済などをDX――hacomono

hacomono
hacomono代表取締役・蓮田健一氏

フィットネスクラブなどのスクールに入会するには、手書きで申込用紙に記入しなければならず、時間もかかる――。そんな課題をデジタル化によって解決しているのが、〔株〕hacomonoが運営するサービス「hacomono」だ。

「大手のフィットネスクラブは従来から顧客管理のシステムを導入していたのですが、申込用紙に顧客に手書きで記入していただいた内容を従業員が改めて入力するなど、非効率な運用がされていました。

hacomonoを使っていただくと、顧客が自分のスマホを使って、オンラインで入会手続きをすることができます。例えば、2020年8月にオープンした24時間営業のある大型店では、1カ月で約2000人に入会していただくことができたのですが、これは、従来のオペレーションでは対応しきれない人数だと思います」(hacomono代表取締役・蓮田健一氏)

従来の顧客管理システムは、パソコン1台ずつにインストールして使うため、せっかくの顧客情報が活用できないという課題もあった。しかし、hacomonoを使えば、予約や決済、店舗へのチェックインまで、会員が自分のスマホでできる。そのため、従業員が手続き業務に追われることがなくなり、本来の仕事である運動指導などに集中しやすくもなったという。

「2019年3月にサービスを始めて、すぐに導入していただける企業もありましたが、特にコロナ禍が始まってから、導入していただける企業が急増しました。業務を非対面化できますし、コスト削減にもなりますから。Zoomなどで行なうオンラインレッスンの予約システムとして、hacomonoを使っていただいている企業や自治体もあります。

現在(2021年3月の取材時)、フィットネス業界の上位50社のうち12社ほど、フィットネスに限らずスクール業態を含めた全体では500店舗以上に導入していただいていています」(蓮田氏)

急速に導入が進んでいる要因としては、コロナ禍や利用コストの安さに加えて、UI/UXにこだわっていることも挙げられる。

「toBのシステムには、それほど使いやすいUI/UXでなくても利用されているものがあるのですが、hacomonoは、従来は店舗の従業員が行なっていた業務を会員が自分のスマホで行なうようにするものなので、UI/UXが非常に重要です」(蓮田氏)

今後は、店舗で販売する商品の在庫管理や運営会社の会計システムとの連動などの機能も加えて、スイミングスクールやフィットネス企業の基幹システムのDXを行なうことも考えているという。また、個々の会員の来店状況に応じた案内を送るなどのマーケティングオートメーションの機能も考えているそうだ。

「体育館や競技場などの公共施設の運営を、自治体がフィットネスクラブの運営会社に委託しているケースが多いので、今後は公共施設へのhacomonoの導入も進めていきたいとも考えています。今は、予約のために施設まで出向いて、しかも抽選待ち、ということも多いのですが、予約も決済もスマホでできるようにしたい。利用者の情報と組み合わせられれば、例えば、市民割引を自動的に適用するといったこともできます」(蓮田氏)

蓮田氏は目指すのは、フィットネス業界のITプラットフォームだ。

「店舗へのチェックインを顔認証で行なうことは既に始めていますが、トレーニング機器の利用データを自動的に顧客情報と結びつけるなど、IoTも進めていきたいと思います。さらに、そのデータを活用して、多くの方に運動習慣を身につけていただくことで介護予防に役立てる、ヘルスケアカンパニーになりたいと考えています」(蓮田氏)

 

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