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定年後に輝く人・くすむ人の差は? 78歳・弘兼憲史が語る老人力

弘兼憲史(漫画家)

弘兼氏

「老後を楽しむ秘訣は、自分を“じいさん”だと認めること」。78歳の弘兼憲史氏に、料理という新たな趣味の魅力と、肩書を手放して老後を豊かに生きる心構えを語ってもらった。

 

定年後の趣味に最適なものとは?

ーー弘兼先生のご趣味についてもお聞かせください。新刊『「まだ働かなきゃダメなんですか?」60歳からでもバリバリできる仕事力 『島耕作』シリーズ作者が実践する、いつまでも楽しく働くコツ』の中でも一章丸々割かれていたお料理についても、かなりこだわりを持たれているようですが?

【弘兼】はい。漫画家になっていなかったら料理の道に進んでいたんじゃないかというくらい、ずっとハマっています。

ーーシニアが第二の人生を彩るための選択肢として、料理はお勧めでしょうか?

【弘兼】もちろんです!料理すること自体も楽しいですし、家族に喜ばれたり、負担を減らせたりするので趣味と実益を兼ねていると言ってよいと思います。

ただよくあるのが、料理だけ作ったら満足して後片付けはほったらかし、みたいな。それだと家族からしたら「だったら最初から私がやるわ!」という話なので。洗い物までが料理だとは、心得ておきましょうね!

ーー弘兼先生にとって、料理の魅力とは何でしょうか?

【弘兼】合理性を突き詰められるところでしょうか。お肉を煮込んでいる間に副菜の準備を進めたり...といった感じに。

あと、私の場合は即興で料理するのが好きですね。男の料理とでも言うんですか?決められたレシピ通りに作るのではなく、冷蔵庫をパッと開けて、その中にある材料で即興でレシピを組み立てるという。段取り力、企画力が要求されるところにやりがいを感じます。

 

老いを受け入れると老後は楽しい!

ーー弘兼先生の代表作である『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』では、シニア世代の仕事観や恋愛観、あるいは人生そのもののすばらしさを描かれています。先生自身が78歳になられて、シニアならではの楽しみを感じられた経験はありますか?

【弘兼】「自分はもうじいさんだ」と認めることが、シニア以降の人生を楽しむ秘訣だと思います。年を取ると物忘れはするし食事をすればボロボロこぼすし...失敗することも増えますけど、それを「しょうがないか」と自分で認めること、周囲に認めてもらうこと。

赤瀬川原平さんが「老人力」という本を出されています。衰えるということは何かを失うことではなく、老人力を得ているんだと。そのように物事をプラス思考で捉えられれば、ちょっと楽しいですよね。

ーー老いそのものを認めることが重要だと。

【弘兼】はい。アンチエイジングで1、2年くらい抗えても、どうせ皺くちゃになるし腰も曲がりますから。だったら、最初から衰えることを織り込み済みで生きた方がいい。

ゴルフが好きなのですが、この年になるとあと何回できるだろうと逆算するんです。5年くらいはできるかな、だったら月に2回で120回か、もっと長く続けられるように頑張ろうといった具合に。

ーーとはいえ、老いをポジティブに捉えるのは難しいと思います。何かお勧めの心構えはありますか?

【弘兼】社会人として成功体験のある人は、特に難しいでしょうね。

大企業の元役員なんかだと、偉そうな人が多いんですよ。肩書なんかひけらかしても嫌われるだけなんですけどね。

それまでにどんな実績や肩書があっても、定年後はみんな平等だと受け入れないといけません。そしてそのためには、対等に話してくれる相手が必要です。僕の行くスナックでは、大きな企業の社長さんでも、他のお客さんと同じように扱われています。ママから「○○ちゃん」なんて呼ばれて嬉しそうにしていますよ。そういった環境があれば、過去の栄光も忘れることができるでしょうね。

プロフィール

弘兼憲史(ひろかね・けんし)

漫画家

1947年生まれ。松下電器産業を経て1974年漫画家デビュー。『島耕作』シリーズ、『人間交差点』『ハロー張りネズミ』『加治隆介の議』『黄昏流星群』などのヒット作を生み出す。小学館漫画賞、講談社漫画賞、日本漫画家協会賞大賞等を受賞。2007年に紫綬褒章を受章。現在も『社外取締役 島耕作』等を連載中。

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