2021年04月06日 公開
2023年10月31日 更新
DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれている中、従来はマンパワーに頼る部分が大きかった店舗運営でも、DXが進んでいる。各業界の店舗のDXを支援しているベンチャー企業3社のトップに話を聞いた。
タノム代表取締役・川野秀哉氏
〔株〕タノムは、飲食店と卸業者の間で行なわれる食材などの受発注をデジタルで効率化するサービス「TANOMU」を提供している。
「飲食店からの発注の主な方法は、いまだにFAXなんです。複数の卸業者に、それぞれへの注文をFAXで送信する作業に、30分~1時間もかかるのは当たり前。閉店後に発注作業をするので、終電を逃すことも珍しくありません。
特定の時間帯に卸業者へのFAXが集中するので、通信が混雑して、翌朝見ると送信できていなかった、ということもあります。
卸業者にとっても、送られてくるFAXの書式がバラバラなので、受注処理が大変です。手書きの1と7が見分けられず、確認するためのやり取りをする、というようなことも多い。しかも、メールやLINE、電話などでも注文が入ってきます。
バイイングパワーの大きな大手チェーンは、発注をデジタルで行なうシステムを従来から導入していました。しかし、個人店などには、そのシステムは使い勝手が悪いこともあって、あまり普及していません」(タノム代表取締役・川野秀哉氏)
店舗の若い従業員にはFAXを操作したことがない人が多かったり、FAX機を水回りに置くわけにいかず置き場所に困っていたり、という問題も起きているという。こうした課題を解決するのが、TANOMUだ。
「TANOMUは卸業者向けのサービスで、イメージとしては、卸業者が簡単にオンラインショップを開店できるようなものです。ただ、そのオンラインショップを利用できるのは、卸業者から招待を受けた方だけです。
飲食店の方は、卸業者から招待を受けて、スマホで簡単に発注ができます。LINEとTANOMUを連携させてお知らせの受信などに利用していただくこともできます。他の卸業者のページへも簡単に移れます。
飲食店の方には、発注の状況を店舗の従業員で共有できたり、帰りの電車の中でも発注ができるようになったりしたと、喜んでいただいています」(川野氏)
2018年12月にサービスを開始し、2020年1月には導入店舗数が1万店舗を突破。急速に利用を広げている。卸業者は多くの店舗に食材などを卸しているので、卸業者から飲食店に利用を勧めてもらっていることが、急拡大の要因の1つのようだ。
「コロナ禍が始まってからは、卸業者の方と飲食店の方が実際に対面してやり取りをすることが難しくなったので、大手の卸業者にも利用していただくところが増え、さらに利用が急増しています。
また、飲食店の他にも、カラー剤などを卸す業者と美容室の間の受発注でも、TANOMUの利用が始まっています」(川野氏)
更新:11月25日 00:05