今、この瞬間に部下に伝えておきたい。忘れてしまいそうだし、明日には別の仕事があるので、夜のうちにメールを送っておこう──。営業リーダー研修を数多く手がける伊庭正康氏は、「多くの管理職がやりがちなことだが、これは完全にNG。部下の離職やメンタルダウンにもつながりかねない危険な行為だ」という。どういうことなのか──。
※本稿は、伊庭正康『できるリーダーは、「これ」しかやらない』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
かつては、夜や休日のうちに部下へメールをしても、何の問題もありませんでした。でも、今は違います。人事部も容認できない、重大な問題行動になっています。
仕事を任せた部下のことが気になっても、夜や休日にメールをしてはダメなのです。
これも時代の常識が変わったことが大きく影響しています。
1つは時間外労働にあたる、といったコンプライアンスの観点から。
もう1つは、部下が必要以上にプレッシャーを感じてしまう、といったリスクマネジメントの観点から。部下がメンタルダウンしたり、そこまでいかずとも、離職をしてしまったりすると本末転倒です。
「なんて、ひ弱な!」と思われた方もいるかもしれません。
そうじゃないんです。ビジネスのルールが「厳格」になった、それだけのこと。
ウチの会社はそこまでではない、と思われたとしたら、その考えは危険です。会社がそうであったとしても、新人の離職率に影響が出る可能性は高いのです。
だって、転職エージェントに行けば、好条件の仕事をいくらでも紹介してもらえる時代です。
「ウチの会社は、大丈夫でしょ…」は、通用しません。
とはいえ、努力だけで常識を変えることは、なかなか簡単ではありません。そこで、こう想像してみてください。
「異国・異文化で育った部下に仕事を任せるとしたら、どうするか」、と。
常識が異なるため、「自分と違って当然」と思うためのリセット術です。
私にも外国人の部下がいましたが、職場がいくら忙しくても、6時になるとピタッと帰りました。
また、大手メーカーに入社したスペイン人の知人(新人)は、有給休暇を取らない理由がまったく理解できないと言います。
友人の会社に勤めるアメリカ人の女性は、「飲み会が家族同伴でないのは困る」と言っていました。
「常識は1つではない」と思えてきませんか?
仕事をドンドン任せていくためにも、この感覚、つまり「自分とは違って当たり前」をスタンダードにしなければなりません。
更新:11月24日 00:05