難関資格から趣味になるものまで、働きながら300以上の資格を取得してきた、林雄次氏。林氏が資格取得に最も必要だと語る、勉強計画の立て方とユニークな勉強法を教えてもらった。(取材・構成:林加愛)
※本稿は、『THE21』2023年2月号特集「40代・50代からの人生が楽しくなる『学び直し』」より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「ITに詳しい社労士・行政書士」として事務所を営む私のもう1つの顔は、「資格ソムリエ」。私自身、社労士と行政書士の他、中小企業診断士、キャリアコンサルタント、ITストラテジスト、果ては「僧侶」まで、保有資格は現時点で300にのぼります。現在40代の私には、資格取得は良い学び直しになっています。
なぜ、そんなに資格を取るのか。最も大きな理由は知識欲です。知的好奇心のままに物事を知ることが、楽しみになっているのです。
初めての資格は、中学2年生のときに取った危険物取扱者試験。所属していた科学部の顧問の先生に勧められて取りました。
高校レベルの物理や化学の基礎知識が必要でしたが、興味のある分野だったので、勉強に苦痛は覚えませんでした。興味のあること、つまり「好き」なことについて知識を得るのは、本来楽しいものなのです。
2つ目の理由は、大人になってから生まれたもの。学校や会社など、属している場所「以外」の第三者から、技能や知識を認証してもらえる喜びです。これはビジネスパーソンの方々にも共感できるところではないでしょうか。
そして最後の理由は、キャリアに役立つこと。スキルをグレードアップさせることはもちろん、副業を始めたり独立したり、といった道も拓けます。
私が進んだ道も、独立開業でした。もともとの職業はエンジニア。会社勤めのかたわら、社労士資格を目指したことが、今の仕事へとつながっています。
私が務めていたIT企業には、資格取得の奨励制度がありました。所定の資格を取得した社員には一時金や月次手当が支給されるとあって、私も意欲的に取り組みました。
IT系の資格をひと通り取得したあと、簿記などのビジネス系にもチャレンジ。その先で、社労士資格を取得しました。取得後は会社に副業を申請したものの、最初はさほど多くの依頼はありませんでした。
しかし、思わぬかたちで転機が来ました。ある方から「ITと社労士の組み合わせって、林さんだけでは?」と言われたことで、ハッと目を開かされたのです。
「社労士」だけならば全国に約4万人いるうちの一人にすぎませんが、「ITに強い社労士」となると希少価値は一気に上がります。それを看板にして、数々の会社と顧問契約を結んでいきました。
ここは、これから資格を取る方々にぜひ注目していただきたいポイントです。取りたての資格で、一から出発しようとするのは間違いのもと。本業と切り離して副業で店開きしても、初心者が一人誕生しただけです。
取った資格を活かすなら、これまでのキャリアと「掛け合わせる」のが成功の秘訣です。その結果、私は副業2年目に1500万円の副収入を得ました。本業の倍ほどですから、もはや「副」とは言えません。多忙さも極みに達したため、独立を決め、現在に至ります。
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更新:11月25日 00:05