2018年08月21日 公開
2023年03月14日 更新
ビジネスパーソンのランチは、単なる栄養補給ではない。上司や部下とランチの時間をともにすることは、チーム力の強化につながる。仕事中は言いにくいことも言えるので、個人としての距離が縮まるからだ。とはいえ、短いランチタイムをムダにしないためには、気をつけるべきことがある。チームマネジメントに通じた伊庭氏に話を聞いた。
もし、あなたが部下を持つ上司の立場なら、部下から情報を教えてもらう場として、ランチミーティングを活用できます。
職場では、「Aさんと一緒に仕事をするのがストレスだ」というような、人間関係の問題が起こりがちです。
そうした情報は、なかなか部下から上司へは言い出しづらい。そのため、上司にはなかなかわかりません。
そこで、ランチタイムを使うのです。ランチ中は「役職」という壁が低くなるので、就業時間中は話しにくい本音も、話してもらいやすくなります。
部下に少しでも気になるところがあれば、ランチに誘って、何か問題が起きていないか聞いてみましょう。
話を聞くと、部下が、「Aさんを外してください。一緒にやっていられません」というような「文句」を言うことが、よくあります。
上司は、心の中では、「それは君の一方的な意見だろう」と思うでしょう。しかし、その場では、「色々と教えてくれてありがとう」とお礼を言うこと。
そして、今度はAさんをランチに誘って、
「こういう意見があるんだけど」
という話をします。
「誰が言っているんですか?」と聞かれたら、
「それは言えない」
と、きっぱり答えてください。曖昧な返事をすると、「『こんな意見がある』と言いながら、実は、自分の意見なんじゃないか」と勘繰られかねません。
こうして双方の言い分を聞いたうえで、必要であれば、しかるべき対応を取りましょう。一方の意見だけを聞いて判断してはいけません。
あなたが部下の立場でも、伝えたいことがあれば、上司をランチに誘うといいと思います。
上司への話し方は、
「Aさんは、こんなことをしているんですよ。ご存じでしたか?」
と、まずは尋ねるのがいいでしょう。すると上司は、たいてい、「知ってるよ」と答えます。
そこで、
「組織として、どう思われますか?」
と、意見を求めます。
ポイントは、個人の意見としてではなく、組織全体の観点で話しているのだと、上司にわかってもらうこと。
これに対して上司は、「そうは言ってもさ……」と答えるでしょうから、
「おっしゃる通りですが、これはチームの総意なんです。やれることはやりましたが、私やチームメンバーの力量では、これが限界です。もう、Aさんに外れてもらうしかありません」
というように訴えましょう。
多くの場合は、「じゃあ、話を預かっておくよ」と上司が言って、その場は終わると思います。
それからどうなるかは、わかりません。しかし、こうしてランチを上司とともにすることで、少なくとも、上司に問題を認識してもらうことはできます。
更新:11月21日 00:05