2018年06月23日 公開
2023年07月31日 更新
アレクサの人工知能としての性能は、年々人間の話し相手として進化していくだろう。その方向はおそらく二つ、別々の方向へ同時に進んでいくはずだ。
一つは実在する人間のパートナーにより近い方向。一人暮らしの女性なら、まるで同居するパートナーのような存在へと進化していく。何かを頼めば気の利いた同居パートナーのように仕事をしてくれる。それでいてさびしいときには話を聞いてくれたり、気が滅入っているときはなぐさめてくれたりする。そうしてアレクサはどんどん擬人化した存在になっていく。
そしてもう一つの方向は、しゃべるペットへの進化だ。いろいろ便利なことを手伝ってくれるが、話す語尾にはかならず「にゃー」とか「みゃー」とかがつくようになる。
アニメキャラのような着せ替えのスマートスピーカーケースを着せられるだろうし、たぶん、新型のスマートスピーカーには足がついて、ご主人さまが部屋を移動するとぴょこぴょこついてくるようになるはずだ。
キッチンに移動してビールをあさっていると、アレクサがさびしがるようについてくる。「なんだ、おまえもビールが飲みたいか?」
と訊くとうれしそうに「みゃー」とつぶやいてくれる。それでいて、「おや、ビールが最後の一本だな」と話すと、「じゃあアマゾンでビールを注文しておくにゃ」と、ちゃんと生活の手伝いもしてくれる。
家庭に入り込んだ素晴らしい生活のパートナー。彼らが生活の一部になる未来は、犬や猫のようなリアルなペット市場が消滅する未来の始まりである。
(『THE21』2018年5月号より)
更新:11月24日 00:05