2018年06月23日 公開
2023年07月31日 更新
この3月から発売が開始されたソニーのペットロボット「aibo」。思わず「懐かしい!」と思った読者もいるのではないだろうか。だが、今回のaiboはかつてのそれとは意味合いが大きく違っていると、著書『「AI失業」前夜』にて、近未来のAIと仕事との関係を描きだした鈴木貴博氏は指摘する。しかもその陰で、ペット以上の「ロボットパートナー」すら生まれつつあるのだという。それは一体何か?
新しい2018年型のaibo(アイボ)が話題だ。ただし、今回の記事の話題の中心は復活したソニーのペットロボットの話ではない。多くの家庭にすでに浸透を始めていて、ソニー製品よりもずっとたくさん売れて、いずれ犬や猫に代わって一番かわいがられるペットになる可能性のある製品についての話をしたいと思う。
とはいえ、人工知能ペットのブームが起きる前夜に登場したという意味で、今回のaiboについてもその意義をきちんと整理しておきたい。今回、ソニーが12年ぶりに発売したaiboには三つの意味がある。
一つめのポイントは「機械学習」である。今回のaiboの人工知能は学習をするのだ。どのようにふるまうと飼い主が喜んでくれるのか、どのようなポーズがウケるのか、aiboは日々、飼い主の反応を凝視しながら学んでいる。
その学習結果はクラウド上にアップロードされる。実は日本国内で販売される何万台かのaiboたちが学習した結果はクラウド上に集約され、分析され、その学習結果はダウンロードされて共有される。だから自宅のaiboは日々、かわいく育っていく。これが12年前にはなかった新しいaiboの特徴である。
二つめのポイントは「リカーリングビジネスモデルの導入」である。新しいaiboは19万8000円で購入して終わりではない。携帯電話の契約と同じで、本体の代金に加えて月々の利用料がかかる。これはaiboベーシックプランといって、月々2980円の支払いを3年間続ける必要がある(一括払い割引プランもある)。
これはソニーの説明では、「届いたばかりではまだ何も知らないaiboが、日々の触れ合いを通じて、あなたの唯一無二のパートナーとして成長するために」必要な費用ということだが、ビジネス的に言えば「売り切りではなく、aiboというサービスの利用からもお金を取る形式だ」ということである。しかもこの2980円という利用料が絶妙だ。これは犬や猫などリアルなペットの飼育にかかる月々のペットフードやグッズの費用よりも安い。
今回のaiboのビジネスモデルは、家計に対して新しいタイプの出費を、どこまで、そしていくらまでなら納得させることができるかという意味でとても興味深いのだ。
更新:11月24日 00:05