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数に強い人は、数字に隠された「ストーリー」を語る!

2018年05月30日 公開
2018年06月04日 更新

永野裕之(永野数学塾塾長)

「愛の価格」は280万円!?

数字から物語を引き出す好例を1つ紹介しましょう。アクサ生命が25〜44歳までの働く女性600人を対象に行った調査報告(2010年)なのですが、そこには

結婚相手に求める理想の年収:平均約552.2万円
愛する人に求める年収:約270.5万円

というデータが示してあり、その後に

その差額281.7万円が『愛の価格』といえるかもしれません。

とまとめてあります。

この世で最もプライスレスであると言っても過言ではない愛の価格をこのように決めてしまうことについての反論はもちろんあると思いますが、結婚相手に求める理想の年収と愛する人に求める年収の両方を調べることで、その差額から「愛の価格」は281.7万円であるとする「物語」は、大変興味深いと私は思いました。この物語を知れば読者の皆さんにとっても「552.2」という数字と「270.5」という数字は、無味乾燥な単なる値ではなくなったことでしょう。

数字を読むときも、数字の意味を考えるときも、数字を作るときも、数字が本来持っている物語を紡ぎ出そうとする努力を決して忘れてはいけません。

この点についてはスティーブ・ジョブズ氏も「ただ数字を見るのではなく、覆いの下をのぞいて、アイディアと人間の質を評価するのだ」と言っています。

(出典:『東大→JAXA→人気数学塾塾長が書いた数に強くなる本』)

著者紹介

永野裕之(ながの・ひろゆき)

「永野数学塾」塾長

1974年、東京生まれ。暁星高等学校を経て東京大学理学部地球惑星物理学科卒。同大学院宇宙科学研究所(現JAXA)中退。レストラン経営、ウィーン国立音大への留学を経て、現在は個別指導塾・永野数学塾(大人の数学塾)の塾長を務める。これまでにNHK、日本経済新聞、プレジデント、プレジデントファミリー他、テレビ・ビジネス誌などから多数の取材を受け、週刊東洋経済では「数学に強い塾」として全国3校掲載の1つに選ばれた。プロの指揮者でもある(元東邦音楽大学講師)。著書に『東大教授の父が教えてくれた頭がよくなる勉強法』『数に強くなる本』(PHPエディターズ・グループ)、『大人のための数学勉強法』(ダイヤモンド社)など多数。

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