2018年05月21日 公開
2023年03月16日 更新
ただ、現在のビットコインは価格が高騰しすぎており、このような用途には使いにくいのが現状です。いわば「ゴールド」のような投機対象となってしまっているのです。また、闇の武器取引に使われたり、かつてのマウントゴックス事件、そして1月末に発覚したNEM(ネム)の不正流出事件などもあり、仮想通貨に不信感を持つ人も多いと思います。
ただ、ビットコインが誕生して9年、その仕組み自体が破綻したことはないのもまた事実であり、NEMの流出もあくまで取引所の管理体制の問題と考えられています。すべての履歴が書き込まれ、改竄のできないブロックチェーン上においては、不正を行なえば、それもまた記録されます。現在は過渡期ですが、最終的にはやはり「正直者が勝つ」世の中になると思います。
我々がやろうとしていることの一つは、世界中で銀行口座すら持てない人たちが、大切な「お金」を時の権力者に巻き上げられないような世の中を作る仕組みとして、仮想通貨が使えるプラットフォームを作ることです。
そしてもう一つは、企業や自治体と組み、ブロックチェーンを使った新しいサービスを生み出すお手伝いをすることです。
たとえば自治体と組み「お祭りだけで使える通貨」を発行し、世界に販売する。1トークンで法被がもらえ、2トークンで特別なイベントへの参加権がもらえる。ただし、お祭りが終わってしまうと価値がなくなる。
もちろんこれは、現在の技術でも可能です。ただし、セキュリティなどを考えると一自治体が気軽にできるものではない。ブロックチェーンの活用により、それが低コストかつ簡単に実現できるのです。
他にも、活用の可能性は無限です。私はいずれ、どんな企業にも「CBO(チーフ・ブロックチェーン・オフィサー)」が生まれる時代が訪れると思っています。
そういう人と協力し合い、また、育てていくことで、「正直者が勝つ」社会を実現するのが私の夢なのです。
(『THE21』2018年4月号より
写真撮影:小林 靖)
更新:11月22日 00:05