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「家族の悩み」がスーッと消える 5つのヒント

2018年05月10日 公開
2023年03月16日 更新

信田さよ子(臨床心理士)

兄弟の育て方

 

Q 2人の子供のうち、どうしてもひとりに厳しくしてしまいます。

A 親がそれぞれの個性に着目してあげましょう。

 

 「兄弟は他人の始まり」とはよく言ったもので、兄弟姉妹の関係性は本当に難しいと思います。なぜなら、距離が近い相手ほど、激しい憎悪を感じるからです。家族でなければ、嫌な相手からは離れることができますが、兄弟だとそうはいかないでしょう。

 では、何が原因で兄弟同士が反目するのか。その原因は、親の眼差しが大きく影響しています。親が兄弟を見る目は、ややもすると不平等なものになりがちだからです。

 たとえば、兄は東大に入学したのに対し、弟は偏差値の低い大学に入学したとします。兄弟を無粋に比較する周りと一緒になって、親までが「お兄ちゃんはえらいのに、あなたはどうしてできないの?」といった態度を取ると、弟の心は傷つき、兄に憎悪を抱くようになるかもしれません。

 そのため、兄弟の能力や容姿に差が生じたときは、片方がコンプレックスを感じないように、比較する発言をしないことが必要です。たとえば、勉強が苦手な弟には、運動をやらせたり、音楽をやらせたりするなど、親が「二人にはそれぞれ得がたい個性がある」という態度に徹します。そうすれば、兄弟の確執をある程度防ぐことができます。

 なお、兄弟で同じスポーツや習い事をするのは避けたほうがよいでしょう。もし、兄弟が同じ習い事をすることになっても、親は絶対に兄弟を比較してはいけません。親がしなくても、世間が勝手に比較します。親くらいは比較せずに、それぞれの存在を認めてあげましょう。

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著者紹介

信田さよ子(のぶた・さよこ)

臨床心理士

1946年、岐阜県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部哲学科卒業、同大学院修士課程家政学研究科児童学専攻修了。駒木野病院勤務、CIAP原宿相談室勤務を経て95年、原宿カウンセリングセンター設立。親子・夫婦関係、アディクション(嗜癖・しへき)、暴力、ハラスメントなどの問題に関するカウンセリングを行なう。著書に『共依存』『母・娘・祖母が共存するために』(ともに朝日新聞出版)など多数。

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