2018年05月02日 公開
2023年03月16日 更新
こう言うと、会社から与えられた目標は自分ではコントロールできないではないかと反論が返ってくるでしょう。確かに、仕事では成果を出さないといけませんから、上司がある程度「数字」を求めてくるのは、仕方のないことです。しかし、それでも実力以上のことはできません。
実は、ここで問題なのは、目標を達成できないことそのものではありません。むしろ、「社内で認められたい」とか、「上司によく思われたい」と考えるあまり、与えられた目標を達成できた人とできなかった自分を比べて、劣等感を感じることのほうが問題なのです。これが、ストレスが生じる2つ目のケースです。
優れた人間になりたいと思うこと自体は、間違ったことではありません。アドラーはそれを「優越性の追求」という言葉で表現しています。ただ、優越性には、「健全な優越性」と「不健全な優越性」があり、「不健全な優越性」に惑わされると、他者との競争が気になるあまり、「不正をしてもバレなければ良い」「結果さえ出せば良い」といった考え方に囚われてしまいます。そうした競争心をアドラーは、精神的健康を最も損ねるものだと言っています。
他方、「健全な優越性」の追求には、他者との競争は無縁です。昨日の自分よりも優れた自分になる。あるいは前回の仕事よりも今回は良い仕事にしようといった具合に、他者との比較ではなく、自分自身と競うことで、実力を高めることができるのです。
すると、他者から与えられた課題も、自分の問題として捉えられるようになるため、ライバルや目標にする人がいたとしても、不要なストレスにさらされることはなくなるのです。
更新:11月24日 00:05