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中小企業診断士の独立 成功を左右するポイントは? 高収益への最重要戦略

2025年07月08日 公開

長尾一洋(株式会社NIコンサルティング代表取締役)

中小企業診断士

中小企業診断士は、経営コンサルティング領域で唯一の国家資格として、多くの中小企業の生産性向上を支援し、ひいては日本経済全体の活性化に貢献しうる、大きな可能性を秘めています。中小企業診断士として独立し、成功を収めるためには、何が重要なのでしょうか? 書籍『中小企業診断士になって「年収1億」稼ぐ方法』より解説します。

※本稿は、長尾一洋著『中小企業診断士になって「年収1億」稼ぐ方法』(KADOKAWA)より内容を一部抜粋・編集したものです

 

中小企業診断士の成功要因とは

中小企業診断士であろうと、経営コンサルタントであろうと成功の要因はシンプルです。それは、「良いクライアントに出会うこと」です。

私も、初めてこの話を聞いた時、正直、肩透かしを食らったような衝撃があり、腰が抜けそうになりました。多くの人は、「それはコンサルティングの実力じゃないのでは?」とか、「弱くて困っている中小企業を救うのが中小企業診断士の本来の価値では?」と疑問に思うかもしれません。

しかし、良いクライアントに出会うことは、前章で指摘した営業活動の重要性や事例の引き出しを増やす取り組みと直結しており、これが経営コンサルタントの優位性にもつながります。

経営コンサルタントは、単に売上や利益を追求するのではなく、常により良いクライアントとの出会いを求めて、新規開拓のチャネルを広げる必要があります。

したがって、クライアントを開拓する際には、新規クライアントを得たいという焦りから、安っぽい提案をしてはいけません。

安い仕事は、安いクライアントを引き寄せることになるからです。

中小企業診断士は、もともと資金や人材、技術、販売力などが不足している中小企業を支援するための資格です。

そのため、「小さくても」「お金がなくても」「人がいなくても」「商品力がなくても」「技術力がなくても」「販売力がなくても」といった問題が山積みの企業を支援しているのです。

しかし、本当にそれが日本経済にとってプラスなのか、大きな成果につながることなのかを考えてみましょう。

そもそも、あなたはそんなに「ないない」づくしの弱小企業を支援して大きく強い企業に育てるだけの力を持っているのでしょうか?

 

世界有数のコンサルティング企業も、世界を席巻する企業を作れていない

中小企業診断士の成功要因は「良いクライアントに出会うこと」と言われて落胆する必要はありません。

経営コンサルティングの世界で、高い評価をされ、世界的にも有名な会社にマッキンゼーやボストンコンサルティンググループ(BCG)があります。

マッキンゼーやBCGには、東大卒やハーバード大に留学してMBAをとったような優秀な人材が集まっていますが、そんな世界的にも有名で、日本においても優秀な人材を集めている経営コンサルティング会社が、日本から世界に羽ばたくような企業を生み出しているでしょうか?

BCGは、1966年に東京オフィスを開設しており、マッキンゼーの日本支社は、1971年に開設されています。

すでに60年近く、日本に拠点を置いて、日本企業を指導しています。しかし、彼らに指導されて、世界を席巻するような企業は生まれていないように思います。

トヨタやソニー、ホンダ、パナソニックなどは、彼らが日本に進出してきたころにはすでに海外への足掛かりをつかんでいましたし、それ以降にパッと思いつく日本発の世界企業はありません。私は、マッキンゼーやBCGの現役コンサルタントや元コンサルタントがテレビやネットで、「日本企業は世界と戦う意識がない」「日本は世界から遅れている」「日本企業は真面目なモノづくりはできるけど付加価値を高めるのが苦手」と、評論するのを見かけると腹が立つことがあります。

「日本を代表する大手企業を指導しているのはマッキンゼーやBCGのような企業ではないのか?」とツッコミたくなります。

もちろん、マッキンゼーやBCGがどこのコンサルティングをしているのか知りませんので、私には見えない隠れた実績はあるかもしれませんが、誰もが知るような成果を上げているとは言い難いのが現実です。

決して、マッキンゼーやBCGを貶めたいわけではなく、一流大学を出て、海外のMBAまで取って、間違いなく優秀な経営コンサルタントだと思うのですが、優秀なコンサルタントだから必ずクライアントを成功に導けるわけではありません。

成功はあくまでもクライアントとの二人三脚で築かれるものです。

だからこそ、良いクライアントに出会う必要があります。そして、その良いクライアントから信頼され、コンサルティング契約してもらえる自分になることが求められます。

さらに、コンサルタントはすべてを抱え込むのではなく、あくまでも黒子やサポート役として、主体である経営者やクライアント企業自身が成長し、伸びるための意欲を引き出す役割を担うべきです。

もし、意欲が低いクライアントと契約して、あれこれ支援しても、労力はかかるのに成果が上がらなければ、結局は「労多くして益少なし」の状態に陥り、自分が疲弊してしまいます。

中小企業診断士は、どんな経営者や企業に対しても万能なスーパーマンではなく、限られたリソースを効果的に使うためには、支援する相手を選ぶことが重要なのです。

 

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