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心理学者が教える「先送りゼロ」のやる気アップ法

2016年01月18日 公開
2023年05月16日 更新

榎本博明(心理学者)

榎本博明 

今すぐやらなくてはならないのに、「なかなか手をつける気がしない」「やる気が出てこない」というのでは、仕事は溜まる一方だ。ビジネスマンのメンタルに詳しい心理学者・榎本博明氏に、先送りをなくするための最新のモチベーションアップ法をうかがった。

※本稿は、『THE21』2016年1月号特集[仕事を「すぐやる人」になる方法」より、内容を一部抜粋・編集したものです。
<取材・構成:林 加愛 写真撮影:長谷川博一>

 

ポイント1
やる気の出る言葉を、常に目に入る場所に置く

最近、海外の研究で注目されているのが「自動動機理論」と呼ばれる理論です。普段、見えているものが無意識に作用し、モチベーションの喚起につながることが実験で証明されているのです。

たとえば、「根性」という文字が書かれたものをデスクの上に置いておけば、本当に根性がついてくる、というわけです。受験生が「根性」や「努力」と書いた紙を壁に貼るのも効果があるのです。たとえば「すぐやる!」という言葉を常に見られるようにしておくと、気持ちの持ちように大きな好影響があるでしょう。

 

ポイント2
「内発的」と「外発的」の両方の動機づけを持つ

1980~90年代の心理学では、「外発的動機づけはかえってモチベーションを下げるので、内発的動機づけをすべきだ」と言われていました。外発的動機づけとは、収入や地位など、外から与えられる報酬への期待のこと。内発的動機づけとは、達成感や充実感、仕事への愛といった自分の想いです。

内発的動機づけの重要性が強調されるあまり、「働く喜びが感じられれば、賃金が低くてもいいのだ」とブラック企業が都合よく利用する問題まで生じてきていますが、実際には、収入や地位といった報酬がモチベーションの源泉になっている人も数多くいます。大事なのは両者のバランスなのです。

内発的動機づけを意識して働くのは大事なことですが、外発的動機づけで仕事に取り組んでいるうちに、知識やスキルが身につき、自分が成長していることが感じられてくると楽しくなってきて、結局は内発的動機づけに移行することもあります。

 

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ポイント3 他人ではなく、過去の自分と比較する >

著者紹介

榎本博明(えのもと・ひろあき)

心理学者

1955年、東京都生まれ。東京大学教育心理学科卒業後、〔株〕東芝市場調査課に勤務。その後、東京都立大学博士課程を経て、大阪大学大学院助教授などを務めたのち、MP人間科学研究所代表に就任。ビジネスシーンを中心に、社会生活を送る中での人間心理の研究を行ない、部下育成やメンタルコントロール術を多くの企業に指導している。著書に『「上から目線」の構造』(日経プレミアシリーズ)、『モチベーションの新法則』(日経文庫)など多数。

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