2018年03月06日 公開
2023年01月31日 更新
目標を達成するためには、やらないことを決めて、やるべきことに集中することが大切だ。では、その「やるべきこと」とはなんなのだろうか。
「どんな勉強でも、一番に学ぶべきことは基礎・基本です。次に、全体像。この二つを押さえることが大切です。
基礎・基本は、簡単に思えて、これほど難しく、深いものはありません。たとえば、ゴルフを習う場合。自己流で変なフォームを身につけてしまうと、後で直すのが大変ですよね。勉強も同じで、基礎・基本が肝心です。
また、全体像を理解することは、新しいことを学ぶうえで不可欠です。部分がわからないと全体がわからないし、全体がわからないと部分がわからない。部分と全体は相互依存の関係です。常に全体を意識しながら学ぶことが大切です」
たとえ資格試験のための勉強でも、試験に出題されるポイントだけを勉強するやり方は身にならないと伊藤氏は警告する。
「試験のヤマ当て的な勉強法は、一見すると効率よく思えますが、基礎基本がおろそかになるし、全体像が理解できません。勉強が単なる丸暗記になってしまい、面白くないのです。出題された問題の背後にはどういう基礎・基本の考え方があって、なぜこの問題が出題されているのか。そういうことが自分なりに理解できると、過去問を解いていても楽しいですよ」
では、基礎・基本と全体像を学ぶのに適した教材は、どのように選ぶとよいのだろうか。
「いきなり分厚い参考書を選ぶのではなく、全体を見渡せる薄い本を探します。難しい内容をわかりやすく書いてある本がおすすめです。何ページが読んでみて、『なるほど!』と思える部分が何カ所かあれば、自分に合っていると言えるでしょう。また、目次が体系立っている本は、全体を意識して書かれているので、選んで安心です」
新しい分野の本や参考書に挑戦したとき、途中で難解な箇所が出てきて、挫折してしまったという経験はないだろうか。伊藤氏は、「わからなくても最後まで読み通す。そして、同じ本を繰り返し読むことが勉強の基本」と強調する。
「一ページ目から順番に読んでいき、完璧な理解を積み重ねながら全部をマスターする勉強法は不可能だと思ったほうがいいでしょう。途中でわからないことがあって当たり前。『まぁ、いいか』くらいに思って、最後までたどり着くことが大切です。その後、最初から二回目を読む。すると、一度全体を通したことで関連性が理解できているので、一回目にわからなかったことがすっと頭に入ってきます。繰り返し読むことで基礎・基本を徹底していけば、勉強はもっと面白くなる。それが記憶や継続につながっていきます」
その日の勉強は、その直後に振り返るのが記憶に定着させるためのポイントだ。
「本や参考書を読んだら、その直後にポイントを頭の中で反芻したり、ぶつぶつ口に出してみたり、人に話してみるといいでしょう。私が塾生に勧めているのは、目次を使った復習です。テキストの目次を縮小コピーして常に持ち歩き、帰りの電車の中でも、目次を見ながらどんな内容だったかを復習するのです。あるいは、勉強のまとめノートを作ったら、そこで満足せず、直後にもう一度見直すことで、定着しやすくなります」
復習は、その日の勉強内容だけでなく、それまでの内容も含めた全体復習が効果的だ。
「たとえば、1章を学んだら、1章を復習する。2章を学んだら、1章と2章を復習する。3章を学んだら、1章から3章までを復習する。こうすることで全体のつながりが見えてきて、理解が進みます。前の章は何度も振り返るうちに、復習に時間がかからなくなっていくので、それほど負担にはなりません」
更新:11月22日 00:05