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日中間に、インターネットで橋をかける!

2017年10月16日 公開
2023年03月23日 更新

【連載 経営トップの挑戦】第24回 翁 永飆

翁 永飆

 

起業家精神は「育てられる」もの?

――翁社長のシリアルアントレプレナーシップはどのように培われたのですか? また、人に伝承することは可能だと思いますか。

 自分で培ったという意識はなく、培う方法も思いつきません(笑)。私自身、意図的に複数の会社を立ち上げたわけではなく、後から振り返れば結果的にこうなっていたという状況です。最初にやっていたJWordがGMOに買収されたときは、私は自ら経営するために会社を辞めて独立したので、これはちょっと違うなということで起業しました。そういう意味では、JWordが買収されていなければ今頃は、JWordで上場していたかもしれません。

後継の人たちのアントレプレナーシップについては、JWordのときから独立したいという社員がたくさんいたので、そういう人のことはずっと応援してきました。その人たちの中から、大きな成功を収める人が出てくることを期待しています。

――インアゴーラについて質問です。越境ECサービスは、なぜキングソフト内ではなく、新会社設立という形態をとられたのでしょうか。

 キングソフトでは、最初の5年間はほとんどPC事業、2011年からはほとんどスマホ事業(一部タブレット)に集中していました。3社目のインアゴーラは、これまでにやったことのなかったEC事業です。eコマース事業は実はずっとやってみたかったのですが、ものすごくお金がかかるんですね。親会社がいて既存株主がいるキングソフトでは何十億円という資金調達は難しいだろうと思い、新しく会社を立ち上げることにしました。

――EC事業をやってみたかった、というのは?

 ネットのビジネスモデルは大きく分けて4つあります。1つ目は広告ビジネス。DAU(アクティブユーザー数)を増やし、広告費で稼ぐモデルです。2つ目は課金ビジネス。ユーザーから直接お金を集めるモデルです。3つ目がネット通販などの電子商取引eコマースで、4つ目がトランザクションビジネス。手数料で稼ぐモデルです。

eコマースは、ずっとネットビジネスをやってきた者からすると、「人間度」が濃い。モノを売ることで、モノを介して人間を感じられるのです。他の3モデルでは、ユーザーが1億人いると言われても、その実感が湧きません。リアルの接点が薄いし、見えない。だからこそ、「この水が何本売れた」とか、そういうのをやってみたかったのです。

――新しい事業をやるリスクはなかったのでしょうか?

 インアゴーラは、今までやってきたすべての事業の延長線上にあると思っています。私が急に、門外漢である飲食業などにチャレンジしても、なかなか難しいでしょう。その点、インアゴーラはこれまでやってきたすべての事業につながっています。経験や人脈をリセットするのではなく、過去やってきたことをすべて継承する事業なので、特別リスクは感じませんでしたね。

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著者紹介

翁 永飆(おう・えいひょう)

Inagora[株]代表取締役社長

1969年、中国上海市生まれ。高校生のとき日本に行こうと決意し、88年に来日。96年、横浜国立大学大学院電子情報工学研究科修士課程修了。卒業後、中国人として初の新卒採用者として伊藤忠商事に入社。独立の夢を実現すべく伊藤忠を退社後、2000年、JWord[株](現GMOインサイト[株])設立、代表取締役に就任。2005年、キングソフト[株]を設立、代表取締役に就任。2006年、ACCESSPORT[株]を設立。2014年には初の“日本商品特化型”中国向け越境ECプラットフォーム「豌豆(ワンドウ)」を運営するInagora [株]を設立、代表取締役に就任、現在に至る。

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