2017年08月31日 公開
2022年10月25日 更新
――旧態依然とした業界にITでメスを入れられる松本さんですが、もともとネットに明るかったのですか?
松本 そうでもありません。ネットについて言えば、普通のユーザーでした。「インターネットで世界が変わる/ITを使って世界を変える」ということに興味を持ったきっかけは、学生時代の読書体験とネット体験にあると言えると思います。
まず、ベストセラーになった『フラット化する世界』(トーマス・フリードマン著)を読んで、ネットによって世界が狭くなっていく様に圧倒されました。この本では米国企業がフラット化する世界にどのように適合し、イノベーションを起こしたかが書かれていましたが、それを読んで「こういう変化ってもっと色々なところで起こせるんじゃないか?」と思ったのです。
それから、カナダ留学時に「セカンドライフ(仮想空間で遊ぶオンラインゲーム)」を知って衝撃を受けました。「バーチャル空間にこんなにたくさん人がいるなんて」と驚くと同時に、確実に世界が変わっていくのを感じました。その頃、私はミクシイやグリー(当時はグリーもSNSをやっていた)を利用していましたが、フェイスブックもこの頃に知って、また驚きました。そしてカナダを出てシリコンバレーに行ったとき、そうしたサービスを作っている人たちと会い、インターネットの可能性を確信するようになったのです。
――学部も商学部で、ことさらネットに強かったわけでもなく、あくまでユーザーだった松本さんが「×IT」でさまざまな業界に革命を起こしている。なぜ、そんなことが可能なのですか?
松本 インターネットやITの力を目の当たりにしつつ、どうやってビジネスに絡めるのかわからない。それは多くのかたが感じていることですが、皆さん、ユーザーとしては普通にスマホでアプリを使っていますよね。しかし、ビジネスにそれを取り込もうとしない。でも、ここから先はもう、取り込まざるを得ないという段階に入っています。
たとえば、印刷業界を筆頭に、今ある大企業のほとんどは明治や昭和にできて、既に構造的な限界を迎えています。物流は「これ以上運べない」し、いろいろな業界で「過労死」する人が出ています。物流は、要はここまでネット通販が伸びてモノを運ぶ量が増えると思っていなかったわけです。また過労死者が出る会社は、労務問題だけではなく、ビジネスモデル含め、会社・業界自体が現在の時代に対応できていないことに真因があると私は見ています。
さまざまな仕組みを今~未来の時代にフィットさせるためには、ネットやITを無視するという選択肢はありえません。そしてネットやITを使った改革を実行できるのは、私たちデジタルネイティブ世代に他なりません。
更新:11月24日 00:05