2017年07月27日 公開
2017年08月16日 更新
――そこからどうやってGPTW(Great Place To Work©)「働きがいのある会社ランキング」に選出されるまでの組織に変えていかれたのですか?
柴田 一所懸命採用しては辞め、採用しては辞め、を繰り返す中でも、少しずつ人の入れ替えは進んでいきました。何年もかけて、新卒が少しずつ残り、中途も価値観の合う人が少しずつ残っていきました。
そして新陳代謝が進んだ2012~13年頃、意を決し、全社で会社のビジョンを本気で話し合う時間をとったのです。1年間かけて、「理想の会社とはどんな会社だろう」というテーマで、社員全員で話し合いました。明確にビジョンが定まったことで、方向性を異にする3分の1くらいの社員がここでまた辞めましたが、それにより組織としてのコアが固まりました。
当社の理念である「つぎのアタリマエをつくる」という標語も、ここで固まりました。2001年以来、そうしたコンセプトでやってきたものの、全社に共有できていなかったので、この言葉化も大きな一歩でした。会社のビジョンが定まることで全体のベクトルが合い、社内の整備が進み、新卒が入ってきたらしっかり受け止められるようになり、教育体制もできました。結果、2014~17年で採った新卒64人のうち、63人が残ってくれるまでになりました。
――今、社員の年齢や新卒のボリュームはどのようなバランスなのですか?
柴田 現在、正社員の数は100名強。そのうち8割近くが新卒層で、平均年齢は27-28歳です。私が入った当時とは、社員の数も質も様変わりしましたね。
――現在のNPは、どんな社員が集まる会社になったのでしょう?
柴田 生意気なヤツばかりですね(笑)。能力は高く、支配や抑圧を嫌い、自分がやるべきことを自ら定めて動ける人たちです。自分の納得いかないことには絶対に首を縦に振らず、納得できなければ、納得するまで話し合う。昔の私に似たタイプと言えるかもしれません。
そんな人ばかりなので、会社と個人の関係が、普通の企業とちょっと違うのかなという気がします。「会社に自分の席はあるけれど、その席でやる仕事は自分で決めている」という感覚を、多くの社員が持っていると思います。新入社員であっても、「朝から晩まで、先輩に言われたとおり働いている」という人はいないのではないかと思います。
社風として、「自分の頭で考えること」と「相手の意見を尊重すること」を非常に重んじるので、会議には賑やかなブレストタイムもあれば、将棋の長考のように、みんなが互いの意見について考え込んで、シーンとする時間もあります。
――そのような会社にあって、社長としてどんな役割に徹されているのですか?
柴田 社長というよりも「村長」と言ったほうがしっくりくる感じですね。社長は王様ではない、ということです。多くの社員が20代で、みんな若いですが、私が言ったことに対しても、納得できなければ「それはこうなんじゃないですか?」と普通に返してきます。もちろん、新入社員であっても。
当社では、立場や年齢はほとんど関係なく、議論も非常にフラットに行なわれます。みんなそれに慣れているので、私が指示のつもりで伝えたことすら、社員にとっては“一意見”扱いなのではないかと思うほどです(笑)。
――逆風の中、トップダウンでやるしかなかった柴田社長がそのような組織を作られるのは、意外な気もします。人を束ねるには力を用いるべきだとか、そういう思考にはならなかったのですか。
柴田 当時の私を知っている人は、当然、私をワンマンだと思っているでしょう。事業を成り立たせるために、トップダウンでやるしかなかったですから。でも私は、もとよりトップダウンが大嫌いです。自分がされるのはもちろん嫌ですし、人にやるのだって嫌でした。創業時はそうするしかなくてワンマンで進めていましたが、その間も「こんなやり方は嫌だ」とずっと思っていました。だから、会社を生まれ変わらせる際には、そういう組織にだけはしたくなかったのです。
更新:11月24日 00:05