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円安=株高の神話はいつか終わる!?

2017年04月28日 公開
2023年04月06日 更新

小口幸伸(国際金融アナリスト)

今さら聞けない「為替の基本」

トランプ政権の誕生によって揺れる為替相場。しかし、為替の仕組みがわからないために、そのニュースを理解できないビジネスマンは少なくないはず。そこで、今さら聞けない為替の基本を、わかりやすい為替解説で定評のある小口幸伸氏にうかがうと同時に、トランプ大統領の政策で世界の為替市場はどう動くのかを占ってもらった。

 

私たちの年金も為替と直結している!?

 新聞を読む習慣があっても、円高や円安といった為替に関する記事を見ると、「何だか難しそう」「自分には関係ない」と読み飛ばしてしまうビジネスマンは多いと思います。けれども、為替は私たちの生活と密接に関わっています。

 たとえば、輸入ブランド品を見てみましょう。1ドル90円だった為替レートが、ドル高円安の傾向が強くなり、1ドル120円になったとします。するとこれまで100ドルの商品を9000円で購入できていたのに、12,000円も払わなければ購入できなくなります。今の時代は多くの商品が輸入によって賄われていますから、円安になることは、食料品を始めとした生活必需品の値上がりに直結します。

 一方、海外に商品を輸出する立場にとっては、1ドルの商品を売っても90円にしかならなかったものが120円になるのですから、ドル高円安のほうが有利です。自動車メーカーをはじめ、日本の主要企業の多くは、輸出によって収益を上げています。ですから一般論として、ドル高円安になれば、日本の主要企業が儲かり、日本経済全体も上向くといわれています。反対にドル安円高によって日本の主要企業が苦境に陥れば、日本経済全体が低迷し、みなさんの給料にも響いてきます。

 また年金基金も、最近は外貨資産によって運用されている部分が増えています。みなさんが将来もらう年金にも、為替レートが大きな影響を及ぼすわけです。

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著者紹介

小口幸伸(おぐち・ゆきのぶ)

国際金融アナリスト

1950 年、群馬県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンクに入行。為替ディーラーとして第一線で活躍した。英ミッドランド銀行為替資金本部長やナショナルウエストミンスター銀行国際金融本部長を経て、2001 年に独立。現在は、国際金融アナリストとして活躍。『入門 外国為替のしくみ』(日本実業出版社)など著書多数。

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